見出し画像

【時事】マイナンバー 事実検証

「河野大臣憎し」とセットで語られている側面があるマイナンバーですが、これも誤解が多いような気がしております。この件取り上げてほしいというお声がありましたので、少し掘り下げてみようと思います。

私も勘違いしておりまして、マイナンバーは「税金を取りっぱぐれないためのシステム」という側面に目が向いていましたが、調べてみると一概にそうではないようなのです。

「社会保障制度と税制を一体化、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障を充実させるとともに、社会保障制度の効率化を進めるため、また所得税の公正性を担保するために、正しい所得把握体制の環境整備が必要不可欠」

平成22年度税制改正大綱

これは「保障する人に正しく保障するため。税の徴収の公平性のため」の双方が起点のようなのです。調べてみると「消えた年金問題」まで出てきました。

ではご確認ください。

◆歴史

01. マイナンバー以前の流れ

実はマイナンバー導入までに、何段階かのステップがありました。まあ、これは参考までに、というところです。

GDX

02. 消えた年金問題

記憶にある方も多いと思いますが、我が国では年金の情報が多く紛失しているのですね。実はこれ、未だに一部データは照合できてなかったりします。

1986年 年金管理が「紙台帳」から「オンライン記録」へ移行
1997年 制度により別々に付与されていた番号を「基礎年金番号」に統一
例:職業が変わって新しい番号が出来た、結婚前の旧姓の記録が残ったままだった、氏名の読みや生年月日が間違えられていたとか、コンピュータへの移換の際の入力ミスなど、主にヒューマンエラー
2007年 納めたはずの年金記録が残っていないということが多数発覚。これが「消えた年金問題」です。年金記録を正しく管理し社会保障制度を機能させるため、その基盤となる個人番号制度の重要性が注目されるようになりました。
2008年~ 約230万人の年金受給者の年金記録が修正され、総額1兆6000億円の年金が一時金として支払われました。
2009年 年金記録の杜撰な管理体制、年金保険料着服も発覚した社会保険庁が解体、年金業務は「日本年金機構」に引き継がれました。

03. マイナンバー成立まで

2009年 「平成22年度税制改正大綱」で共通番号制度の導入提言。
2010年 「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」設置。
2013年 「マイナンバー関連法」成立。

◆メリット / デメリット

01.メリット

・身分証明書として機能

・ コンビニで公的書類取得が可能
 
次の書類はコンビニで公的書類の取得が可能です。
・住民票の写し、住民票記載事項証明書
・印鑑登録証明書
・税金の証明書
・戸籍証明書のうち全部事項証明書、個人事項証明書
・戸籍の附票の写し

・引っ越しの手続きがワンストップ
マイナポータルでは地方自治体のサービスを受けることが可能です。婚姻届や転出の手続きなどをオンライン上で行うことができるため、市役所に出向く手間を省けます。

・確定申告
確定申告をオンライン(e-Tax)でより効率的に行えます。条件次第では控除額の優遇措置を受けられることも可能です。

・健康保険証
マイナンバーカードを医療機関等で提示する健康保険証の代わりに利用できます。保険証利用が可能な病院では、保険証を持参しなくても、マイナンバーカードを提示することで受診することができます。

02. デメリット

・ 盗難・紛失した際のリスク
※サービスによっては、暗証番号が必要なため、利用できるサービスは制限されると想定されます。

・ 金融資産との紐づけに不安
投資を行う場合、金融資産とマイナンバーは紐づけが義務化されています。そのため、マイナンバーカードの盗難・紛失によって金融資産の情報が把握されるといったリスクも想定されます。

◆真偽確認

01. 拾得した人が使える

【デマ】マイナンバーカードには本人の顔写真が入っていて、対面での悪用は困難です。オンラインで使用するためには、暗証番号が必要になります。(普段使わない皆さんも、暗証番号を決めた記憶ありますよね)
実はこれ、不正な手段で情報を読みだそうとするとICチップが壊れます

02. 個人情報がカードに入っている

【デマ】 プライバシー性の高い個人情報は、マイナンバーカードのICチップには記録されていません。どちらかというと「各省庁が管理するデータにアクセスするための鍵」みたいなもので、そのICチップそのものに記録されている訳ではないのです。税や年金などの情報は、各行政機関において分散管理。

03. 口座情報で副業がバレる

【デマ】 公的機関からこれを会社に言う事はないそうです。副業が会社にバレる一番の原因は、住民税税額。住民税は給与支払者を経由して納税義務者に通知されることになっており、副業により住民税が上がったことで会社に不審に思われるケースが大半です。

04. 紛失再発行時に使えない期間が

【本当】 紛失再発行に現状は1-2か月かかっているようです。政府は期間を大幅に短縮する方向です。市町村の窓口で申請をすれば、長くても10日間程度でカードを取得することが出来るように検討を進めているようです。

05. マイナンバーカードでSNSを規制

【誇張】河野大臣がスシローなどでの迷惑動画を受けて「日曜報道 THE PRIME」にて発言したことが話題になりました。
「いろいろな(SNSの)サービスのアカウントを作るときに、マイナンバーカードで認証を最初、するということにすれば、年齢制限をきっちり守ることができますから、そういうところにも(マイナンバーカードが)役に立ってくると思う」という発言。

ここからは私見ですが、twitterにしてもFacebookにしてもInstagramにしてもTikTokにしても、初回アカウント作成時に年齢入力がある訳でして、そこの「真偽の担保」として利用するのなら問題ないのでは、と思います。これは別に政府がログを取り続ける訳でもないし、問題が起きた際の各社サーバーに保管されてるログ開示は従来通りでしょう。SNS監視は表現があまりに誇張されていると感じます。

06. マイナンバーシステム一時停止要請

【誤記載、ただ失態はあり】 マイナンバーシステム全体かと誤認される表記で報道されましたが、正しくは「マイナンバーを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しが取得できる交付サービスの一時停止」を要請しています。富士通JAPANのシステムの不具合との事。

ただ、これは富士通とデジタル庁の双方が批判されてしかるべき不具合だとは思います。人間が作るものですので、バグは起きるものだとは言え、再発防止を入念に行っていただきたいです。

NHK

07. TikTok+デジタル庁で啓発動画

【本当だけど問題なし】 デジタル庁がTikTokと連携して「マイナンバーの啓発動画」をUPしたとの記事。まあ、保守言論人やアカウントが大騒ぎしていたので、ご存知の方も多いと思います。

SAKISIRU

まず「手法は1個に絞らなくていい」です。Twitterでもマイナンバー啓発はされていました。

Youtubeにも専用チャンネルがあります。

これは若年層PRが狙いなら私もTikTokとInstagramを選びます。下の図をご覧いただけるとおわかりになるかと。TikTokは30代以上があまり使用していないSNSですが、若年層はめちゃめちゃ使っています。利用者の伸び率も高い。

そもそも「ただPR動画あげるだけじゃん、システム連携する訳じゃあるまいし」と私は思っています。どうでもいいわ。

◆私見

左派のマイナンバー反対派の論調は、おそらくはジョージ・オーウェルの小説「1984年」のような「管理社会」への抵抗です。やたら言及する人多いけど、本当にみんな読んでるのかなぁ、とは思いますが…。

逆に右派のマイナンバー反対派の想定するのは「中国のような社会」を忌避しているのかなと思います。

サーバーが海外だったり、バグがあったりと、私も「全面的に賛成、今のまんまでいいよ」とは思いません。導入期なので、まだ想定外の事態が起きることも考えられます。が、そもそもの経緯からみると、狙っているのは「適正な保障と税収、各省庁の縦割りを回避するシステム化」であり、方向性は間違っていないと思います。

結論、方向性はこのまんま、精度を高めて事故の起きないシステム構築を目指してほしい、です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?