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【エンタメ小説】東海道五拾三次OLスキー珍道中 第12話 三島

三島

 箱根のリゾートで半日、羽を伸ばしたミケタマの二人は、翌朝早くに出立した。
 下りの箱根西坂は、広くて滑りやすいゲレンデが続いている。
 箱根峠を越えると、そこはもう静岡県である。

「あれ、もう静岡に入ったの?」
「写真撮りましょうよ!」
 県境を越える感動のないまま、いつのまにか静岡に入っていた。
 改めて引き返し、「これより静岡」の看板の前で、パシャリ。
 記念撮影をする。

 東海道は、この静岡が長い。
 メインと言っていい。
 関東圏から離れ、旅情ムードも高まるが、ここから長旅が待っている。
 なるべくスキーのエンジンをかけずに、気持ちよく流していく。
 ところどころ、緩やかな登りもあって、そんなにスピードは出ない。
 やがて長い下りが終わって、三島に到着した。

 まずは三嶋大社に寄って、旅の無事を祈願する。
「無事に京都まで着きますように!」
「いい男が見つかりますように!」
 と、神社仏閣では、いつも同じ願い事。

 おみくじを引くと、二人とも大吉だった。
「ラッキー!」
「調子良さそうね」
 と、気を良くする二人。

 だが、おみくじには気になることも書いてあった。
「贈り物に注意?だって。どういうことかしら?」
「さあ?男に貢がれるってことじゃない?」
 男に貢がれるのはよくある二人だが、はてさて。

 三島大社を後にした二人。
 三島の市街地を抜けて、黄瀬川《きせがわ》を渡った。
 三島から次の沼津までは、距離が近い。

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