見出し画像

【エンタメ小説】東海道五拾三次OLスキー珍道中 第4話 神奈川

神奈川

 ミケタマの二人は、海風を切って、スキーを飛ばしていく。
 新子安駅の南側を通って、目指すは神奈川宿だ。
 この辺は江戸末期に、海防のための台場が作られたところ。

 ミケタマの二人が近づいていくと、ドーン、ドーン。
 ホログラムの砲台が海に向かって火を噴いた。
 旅人を歓迎するあかしである。

 空中には、大きなウミガメがプカプカと泳いでいる。
 これもホログラムだ。
 コースには、タイやヒラメも舞い踊っている。
 それを大回転のポールに見立てて、右へ左へと、ターンしていく二人。
 魚はもちろんホログラムなので、当たっても痛くないが、そんなヘマをやらかす二人ではない。

「この辺りは、浦島太郎の伝説の地なのね」とミケコ。
「浦島さん、浦島さん。小籠包を一つくださいな」と、タマコはおどけた。
「私、シュウマイも!」
「ギョーザもつけてくれたら、鬼退治でも竜宮城でも、どこでも行くわよ」
「いやあね、そんなこと言うと、食べたくなっちゃうじゃない」
「今日の夕飯は、中華で決まりね!」

 横浜駅の手前で線路の北側に出て、次の保土ヶ谷《ほどがや》宿へと道は続いていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?