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私が見た新疆ウイグル自治区② ウルムチ

前回の投稿から時間が空いてしまった。
今回の記事は、新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチ(烏魯木斉/Urumchi)を旅した記録。

ウルムチ国際空港に到着して少し驚いたことは、厳重な警備体制。空港から一歩外に出た場所で、警官が銃を抱え立って周囲を見渡していた。

ウルムチは、中国の他の多くの都市と変わらず商業施設やビル、飲食店などが立ち並び、賑わっていた。少数民族が多いウイグルだが、ウルムチの中心地を歩く人々は漢族も多い印象だった。

紅山公園

まずは観光地の紅山公園へ。

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近くに屋台があり、これは何?と話しかけたら「ナンだよナン!ナン知らないのか?!」と写真のおじさんにカタコトの中国語で言われた。香辛料で味付けされたナンの串刺しが売られていた。

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11月のウイグルは氷点下になることも多く、紅山公園の横の池は凍っていた。

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丘を登るとウルムチ市街を見渡すことができる。

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大連からウイグルに移動して感じたことは、街中に貼られたポスターの多さ。いたるところに「民族団結」「愛国愛党」といったスローガンが見られた。多いところでは1m間隔で貼られていた。大連などの沿岸都市ではそんな光景はほとんど見られない。

新疆国際大バザール

シルクロードの歴史を感じられる場所、新疆国際大バザール。

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入場ゲートでは手荷物検査をされた。

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バザールでは、レーズンなどのドライフルーツ、新疆産フルーツ、シルクなどの衣料品や絨毯といった新疆の名産品が売られている。ウルムチの中でも特にイスラムの雰囲気が味わえる観光名所だ。


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ウイグルのフルーツは安い上に、他地域とは比べ物にならないぐらい美味しかった。特にスイカや葡萄。


ウルムチで暮らす人々

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天山天池

2日目に、現地のバスツアーに参加して世界自然遺産に登録されている天池へ。ゲストハウスでどのバスに乗ればいいか調べていたら、一緒に泊まっていた四川省出身の男性(四川哥哥と呼んでいた)が親切に教えてくれた。

バスで数時間。標高2000mの世界はまさに絶景で、雪が積もった山々が連なるこの景色の美しさは、私のカメラで伝えるには限界があった。空気も澄んでいて、とても気持ちよかった。

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この次の日には大雪で天池の観光は難しかったようで、ギリギリ行けてよかった。帰ってからバスを教えてくれた四川哥哥が「今日行けて良かったな!」と笑って話しかけてくれたのが懐かしい。旅先で出会う漢族の人たちは、みんな本当に親切だった。

ウイグルと豊富な資源

天池から市街地への帰りのバスの中から、「中国石化」という建物の横で土地開発をしている光景が見られた。

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後から調べると、中国石化は「中国石油化工股份有限公司」という中国最大規模の石油会社で、石油・天然ガスの探査・採掘から販売までを行い、輸出入事業なども行っていることがわかった。ここで、石油産業関連の施設を作っていたのだろうか。

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新疆ウイグル自治区の大きな特徴の一つは、豊富な地下資源だ。次回紹介するトルファンを含む盆地では、多くの石油と天然ガスの採掘地が存在し、その推定埋蔵量は中国の陸上油田の約3分の1を占めると言われている。

厳しい自然環境であるにも関わらず、中国政府がウイグルという土地に執着するのは、この豊富な地下資源を手放したくないからだ。

ウイグルでは、この数十年で国営企業や漢族経営の大企業がかなり増え、東部から多くの漢族が流入している。西部大開発という政策があり、インフラ整備や資源関連の会社には巨額のお金が注ぎ込まれてきた。

流入してきた漢族と、言葉や文化・生活習慣が全く異なり、イスラムを信仰するウイグルの少数民族の間には、共に働くには大きな壁があり、企業は漢族の雇用を優先させるため、漢民族と地元のウイグル族との間の経済格差は大きいと言われている。漢族中心社会と変わるなかで、少数民族の不満と憎悪が生まれるのは、必然的である。

ウルムチ編はここまで。

ウイグルで起こっている問題を知るには

現在問題となっているウイグルの強制収容所の実態を知るには、福島香織さん著書の『ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在』がオススメ。





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