初夏の候、ボックス席にて
車窓から見える地平線はずっとずっと、
僕らを追いかけまわしてついてくる。
窓を開けて頬杖をついた彼女はそれを、
ただひたすらに追い続けている。
旅の正解や終着点は見えなくて、
本当のところは、
旅の終わり方や結論は少しばかり見えている。
彼女が辿ってきたレールが、
どんなに曲がりくねった道だったのか、
どれだけ急停車を繰り返し立ち止まったのか。
僕にはわからず想像もできない。
僕には、
ほんの小さなカケラも理解はできない。
それでもこうして、肌に触れ機微に触れ心に触れている今、この席は確かに交わったレールを歩いている。
目標もなくどこまで行こう
目的もなくいつまで行こう
1人でなく2人で行こう
これぞ私の傷心旅行、僕の逃避行。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?