エンドロール考
映画本編が終わって、エンドロールが流れ始める。人がちらほら、座席を立って現実世界に戻っていく。
それを見ると、なんだか悲しい気持ちになる。
人それぞれ、事情はあるに違いない。
次の予定があるとか、電車に間に合わなそうとか。
私はよくレイトショーを見に行くから、尚更だ。
でも、映画本編が終わって、その感情を抱いたまま、もしくは溢れる感情を整理しながら、ただエンドロールを見つめるのが好きなのだ。
正直、エンドロールの字は小さいことが多くて、そのほとんどが頭に入ってこない。
邦画ならまだしも、外国語の作品になるとそれは顕著だ。
でも、良い。
ただ無心で、映画館のクッション性があるのかないのかよくわからないイスにもたれて、黒いスクリーンと白い文字の流れに身を任せるのが心地よいのだ。
そして何より、映画が終わってすぐに外に出られないのだ。作品への執着も少しはある。
現実世界に、すぐに戻りたくないのだ。
映画館にいるうちは少なくとも、映画の中の世界に浸っていたいと思うのはワガママだろうか。
だから、エンドロールが始まったからと言ってスマホを操作する人にも嫌悪感を抱いてしまう。
エンドロールも含めて、その作品だと私は思う。
実際、エンドロール後に作品からのメッセージが伝えられることもある。
映画の楽しみ方は、人それぞれだ。
ただ、折角映画館に見に来たのであれば、映画の世界に没入するのも一つの手ではないだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?