【ネタバレあり】「白鳥とコウモリ」。東野圭吾の現代版 罪と罰。
「えっ!! でも、これどうなるの???」
読んでいる途中から、私が思っていた事です。
中盤戦からずっと「どうなるか」「結末どうするのか」を気にして読んでました。
これは、東野圭吾さんの「白鳥とコウモリ」を読んだ感想です。
まず、この白鳥をコウモリを読もうと思ったきっかけは、本のプロモでの東野圭吾さんの言葉を見て、気になったからです。
その言葉は、これ↓
ここまで書かれたら、気になって読まざるを得ないでしょ。
あと、私は白夜行が好きなので、それに近い作品と聞いたので、購入しました。
【感想】
約500ページの作品ですが、100ページ以降はほぼ一気に読み切ってしまいました。
なぜなら、謎を呼ぶ展開で次が気になり過ぎたから。
(次からネタバレに入ります。)
この作品は、結果的に
・加害者家族が被害者家族へ
・被害者家族が加害者家族へ
・加害者家族が無実へ
という衝撃的な展開になりましたね。
この小説で私がすごいと思ったのは、「すべての登場人物の感情の動きが、非常にわかりやすく書かれている事」です。
例えば、
・犯人には犯人の動機があり、考えがありました。
・犯人の罪をかぶった人は、かぶる理由がありました。
とか、非常に繊細な描写をわかりやすく書かれていました。
その上で、「30年前の事件」「なぜ罪をかぶったのか?」が軸となり、話は進んでいきました。
この辺のストーリー構成は、さすが東野圭吾さんです。
結果的に、
被害者家族は、被害者家族であるだけではなくて、
被害者家族ではあるが、元殺人を犯した加害者の家族でもあったのです。
もう一人の主人公の美玲さんは、強い意思を持って運命に立ち向かうことになりましたが、とうてい受け入れられる事ではないと思います。
作品終盤での、新幹線で手を握るシーンは、名シーンですね。
ここは文字で表現する事ができないくらい、様々な感情が渦巻いています。
それでも前を向いて生きていこうとする美玲さんと、何があっても支えようとする倉木氏に心を打たれました。
いつか映像化する際は、ここを一番注目してみたいと思いました。
【気になったセリフ】
「遺族なのに、なぜ教えてもらえないのですか!」
ちょうど新聞の広告にもこのセリフが載っていたので、画像を貼り付けておきました。
被害者と加害者。
検察と弁護士。
どちらも事件の関係者ではあるが、求める答えは異なっています。
被害者と加害者は、人としての気持ち(なぜ殺人を犯したのか?なぜ嘘をつくのか?)を重視しています。
一方で、検察と弁護士は、システム的に事件をさばくだけという感じ。仕方ないかもしれませんが、当事者だったら納得できないですよね。
また、殺害された被害者家族が真相を知らない(知らされない)で、事実をニュースで知るとか普通にあるみたいですね。
日本の制度の問題なのかわかりませんが、納得いかない話ですよね。
「真実を知りたいだけなのに」
このセリフはさっきの「遺族なのに~~」に類似していますが、私が気になった2つ目のセリフです。
殺害された被害者家族が殺された理由を知りたくなるのは、当たり前ですが、裁判に関係なければ、弁護士も検察も調べようとしない。
理由を知って納得したい気持ちは理解できます。
殺された理由がわからないまま過ごすよりは、辛い結果になっても知った方が、後悔しないと思います。
制度だから仕方ないのかもしれませんが、私も真実を知りたくなると思うので、「真実を知りたいだけなのに」には共感できました。
【まとめ】
突然人生変わってしまう。
ありふれた日常から、殺人事件の加害者の子供という存在になってしまう。
これだけでも一つのミステリー作品としては、十分なストーリーですが、さすがです。
加害者から被害者へと移りゆく変化と感情を絶妙に表現しています。
私は、一気読みしたくらい非常に良かった作品です。
この登場人物たちの未来も気になりますが、まずはもう一度読み返してみたいと思います。
ぜひこの小説を読んだ人と共感したいと思い、初めて感想を書いてみましたので、なにかあればコメントください。
では、おしまい。
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