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山あり谷あり、ネオン道③ -ルディさんの祈り-

ここまでで、「ネオンの歴史」のお話はおしまい。

And yet, despite all these problems, artists, architects, and interior designers are beginning to discover the exciting possibilities of neon. Their number is small, but their influence may prove considerable.

Rudi Stern/Let There Be Neon
P33

"このような問題にもかかわらず、アーティスト、建築家、インテリア・デザイナーたちは、ネオンのエキサイティングな可能性を発見し始めている。彼らの数は少ないが、その影響力は大きい。"

1950年代には、ルーチョ・フォンタナやスティーヴン・アントナコスのように、『アーティストが作品の中にネオンを取り入れる』という新しい取り組みもはっきりと見えはじめた。

⚫︎ルーチョ・フォンタナ
1899年〜1968年
イタリアの美術家、彫刻家、画家
空間主義という芸術運動の創始者
1951年 ネオン管を用いた環境芸術作品を制作し、ミラノのトリエンナーレ会場の天井に展示する。

⚫︎スティーヴン・アントナコス
1926年〜2013年
ギリシャ生まれのアメリカ人彫刻家
1950年代後半から工業的な素材だったネオンを作品に取り込んでいく。立川駅前にも作品がある。

City planners may one day recognize the value of neon as an element of urban vitality.
They may come to realize that the current bleak voids of center cities are due, in part, to the absence of this element.

Rudi Stern/Let There Be Neon
P33

"都市計画者たちは、都市の活力の要素としてネオンの価値を認識する日が来るかもしれない。
現在の都心部の殺風景な空洞は、ネオンの不在が一因であることに気づくかもしれない。"

ルディさんは、よき日のタイムズスクエアを想っていたのかなぁ。。

Today, neon helps Tokyo express the dynamism of a metropolis as it once did in New York.

Rudi Stern/Let There Be Neon
P33

"かつてニューヨークがそうであったように、今日、ネオンは東京が大都市のダイナミズムを表現するのに役立っている。"

1970年代当時、確かに東京の街はネオンで輝いていた。でも、1973年のオイルショックから、日本のネオンも同じように衰退していく。まさに、その入口に入っていくところだったんだよなぁ。

そして、歴史話の締めくくりは、こんなことば。

At this writing the medium is about to be born again, with sign-making only one of its manifestations.

Rudi Stern/Let There Be Neon
P33

"この原稿を書いている時点では、ネオンというメディアは再び生まれ変わろうとしている。"

⚫︎この本のタイトル『Let There Be Neon』の意味は、「ネオンがありますように」
⚫︎序文でルディさんが書いた、"ギャラリーもこの本も、ネオンの過去と未来をつなぐ試みである。"
⚫︎そしてこの章の最後に、"ネオンというメディアは再び生まれ変わろうとしている"

これが、彼の祈りであり、彼自身が思うとおりの現状じゃなくても、ガッカリしないで希望をカタチにしよう。と努力していたんだ!

私は、"黄昏のビギン"という歌が好きだ。
ネオンは日本の戦後を灯した復興のあかり、でもあると思う。

人生復興中の私たち夫婦も、恐れず新しいことに挑戦していかなければいけないなぁ。と思う。

ソルトレイクシティのヤング・エレクトリック・サイン・カンパニーによる、第二次世界大戦後のユタ州オグデンの看板。この時代、個性的で派手なデザインの最後のものが作られたが、規模は以前よりずっと小さくなっている。
出典 : Rudi Stern/Let There Be Neon
出典 : 読売新聞オンライン「ちょっと前はどうだったけ?」
1956年 戦後11年の東京 銀座のネオン



※ 引用部分については、Let There Be Neonさんのご厚意により、直接許可をいただいています。

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