漁師未経験者が漁師という職に就くまで。ライトハウスがサポートしました。
漁業界の深刻な人材不足
こんにちは、株式会社ライトハウスの小川です。弊社はISANAを主軸として、漁師さんのために漁を効率化するプロダクトを運営しています。営業・CSのメンバーは、新規開拓や取付、修理などの用事で、毎日たくさんの漁師さんにお会いしています。
ISANAを運営して約2年。お客さんにお会いすると、これまではプロダクトの改善要望や、新しいアイデアなどの声をいただくことが多かったのですが、長く接しているとISANAのサービスに対するご意見以外にも、もっと本質的に解決したいこととして「船団の人材不足」や「後継者不在問題」について相談を受けることが多くなってきました。
地域を問わず、全国から同じような声をいただくので、我々も無視することができず、なんとか漁業界の人材問題をどうにか解決できないかと、現在新しいサービスを検討しています。
漁師になりたい男との出会い
我々はこの大きな問題に取り掛かっている中で、加藤さんという一人の男性と出会いました。
「漁師になりたい」そう言って、加藤さんは弊社の社員を通じてライトハウスまで声をかけてきました。
話を聞いてみると、小学生のときに漁師について書かれている本を読んで以来「漁師ってかっこいい!」と20年近く思い続けていたこと、もともと働いていた施工管理の仕事で東日本大震災の復旧工事を担当してるときに出会った漁師から「漁師は自然との勝負」という話が頭から離れなかったこと、友人がライトハウスで働いていて、出会う漁師さんたちがみんないい人であると聞いたことなどがリンクし、ついに漁師になろうと決心したそうです。
我々は人材不足で悩む漁師さんと、この熱いパッションを持って漁師になりたいという一人の男をつなげてあげることにしました。
つなげるためにライトハウスがしたこと。
・漁業未経験者に対して基礎知識を教育。
例えば「まき網・バッチ網」「漁労長」「船団」などは、漁業界隈では当たり前に使われている言葉ですが、未経験者にとっては何がなんだかわかりません。これらの言葉を基礎知識として教えることで、漁師と会った時に知らない単語をできるだけ減らしました。
・ISANAユーザーである漁師さんを複数紹介。
いざ漁師になりたいと思ってインターネットで調べても、ざっくりとした業務時間、形態、地域などの情報しか出てこず、何も経験したことがない人にとっては、いまいち差がわかりにくい情報しか出てきません。我々はお客さんの性格やどのように働いているかを知り尽くしているので、インターネットで調べるだけではわからない情報を教え、その中で会ってみたい人を加藤さんに決めてもらいました。
・漁師さんに会いに行くまでをアテンド。
次のステップとして「会いに行く」ということがありますが、ここのハードルが最も高いです。面接のために様々な地域の船団を複数めぐるには、各地点で毎度レンタカーを借りて何時間も運転しなければならなかったり、数時間に一本の公共交通機関を待たなければならなかったりと、ちょっと会うだけでも一苦労です。我々は地域ごとに営業・CSが張り付きで担当しているので、我々の名義でユーザーにアポをとり、車での送迎を行いました。
・面接に同席しました。
就職面接なので、ここまですべきではないという声もあると思いますが、我々のお客さんに加藤さんを紹介しているという手前、面接には同席させていただきました。それにより、初見の人間が訪ねてくるよりもすんなりと受け入れていただけたように思います。
・体験乗船を交渉しました。
未経験者のまま就職し、働いてみたらイメージしてたものと違う…、となってしまったら双方に良くありません。そこで我々は面接で手応えのあった漁業者に試しに乗船させていただくようお願いし、加藤さんには一晩体験乗船してもらいまいた。加藤さんは体験乗船で、船酔いと体力的な問題で途中でダウンしてしまったそうなのですが、その折に触れた漁師さんの優しさや、遠くに光る灯船の美しさに感動し、改めて漁師になろうと決意したそうです。
上記サポートをそれぞれの地域で、計4船団に行いました。結果としてその内の一つである漁業者へ就職することが決定しました。
では、何が最も決定的な決め手になったのかを加藤さんに聞いてみました。いわく、「最もクリアだったから」とのことでした。
未経験者に選ばれる漁業者とは?
加藤さんは漁業者を選ぶとき、地域や賃金などは大きな問題とは考えていませんでした。それよりも「ここで働くと一人前の漁師になれると、明確にイメージできること」を最も大事にしていました。
今回、就職することになった漁業者は面接の時に、年収、船員の数、Iターンできた船員さんの話を包み隠さず教えてくれて、また漁師としてのファーストキャリアを明確にしてくれた。具体的には「まずは機関長を目指して頑張れ、そのためには機関士として3年働き、講習と試験を受けなさい」と言われた。右も左もわからない中で、「漁師として一人前になる」というゴールに到達するために「まずやること」を示してくれたことが、自分の立場になってくれたと感じた。その点が、最もこの人の下で働きたいという気持ちにさせた。
加藤さんは、この先自分のような未経験で漁師になる人を増やすべく、今は背中を見て覚えろという風潮がある漁師の世代間教育をもっとマニュアル化して行きたいと考えているそうです。
最後に
もし「漁師になりたい!」「人材がほしい!」という人、漁業者の方がいましたらライトハウスまで一報ください。相談に乗ります!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?