【ミニ講義】捜索差押等の効力に関する条文ではない~条文を読むことの重要性

 よく刑訴法の答案を見ていると疑問に思う表現があります。

 捜索差押に関する問題のとき、令状の執行の場面や効力範囲の根拠規定として218条や219条を上げる答案があります。

 もちろんこれでも答案的には問題ないのかもしれません。ですが、このような答案を書く方に「この規定の名宛人はだれでどういう効果なのか説明できますか?」という質問をすると答えが返ってきません。

 ここで218条1項を見てみましょう。他の項数は各自、確認してください。

 「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」

次に、219条1項です。

 「前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。」

 以上です。

 これらの条文は、文言からすれば、令状の効力に関しての明確な規定でないことは、わかると思います。

 そもそも、学習用六法(ポケット六法等の市販のもの。実際の法令にタイトルはない)での条文のタイトルは、218条は(令状による差押…)であり219条は(差押等の令状の方式)等であり、令状の効力に関するものではありません。令状の効力の範囲等は222条の準用する諸規定により定められるという理解の方が正確と思います(この理解自体を何か詳細な文献リサーチして確認したわけではありませんが…)。

 ここで私が言いたいのは、適切な条文を上げましょう!という単純な話ではなく、条文の文言を丁寧に読み、これを使用する場面で誰が誰に対して、どのような場合に、どう使用するするのか?という点をしっかりイメージしてほしいということです。

 令状の効力に関する問題が、出題されたときに218条や219条をおそらく読むことなく引用している人が多いということが、上記の問題だと思います。試験現場で読んで、「あれ?」と思っていては時間切れになってしまいます。そのため、事前の勉強で条文を丁寧に読んでおき、どういう規定なのかを確認してほしいのです。

 という趣旨です!

今後もこうした指導中に感じた内容等を記事にしていこうと思います!


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