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令和5年司法試験論文式雑感~自分が初見で解いた時の感想(結構間違えているともうので…)

はじめに

司法試験お疲れ様でした!

 予備試験の方も短答式お疲れ様です!自己採点をしてしっかりつぎに生かしてください。あと、復習もしっかりしてください。せっかく本番で間違えたという大きな傷なので、早めにしっかり固めておいた方が、よく記憶に定着します!

 さて、今日は、今年の司法試験の問題を初見で見たときの自分の感想をざっとまとめました。あくまで初見でみてどうおもったか?なので参考程度ですし、解説ではありません。受験指導歴の方が自分の受験歴よりも長くなってしまっているので、、

 まぁ参考までにという感じです。

 ちなみに、もし予備論文組や来年司法試験という方で、まだ試験問題を解いていな、見ていない方はバックしてください。絶対に自分でといて少なくとも構成をしてからみないと、実力を測れません。せっかく初見で本番を予断無くとける機会です。これを活用しない手はありません。

 なお、問題は法務省でも見れるでしょうが、これを書いている2023年7月17日12時時点では祝日(海の日)ということもあり公式の問題は見れません。自分はBEXAの速報や教え子からの情報提供で把握したものです。


とりあず本題です。全体的に誤字脱字がまだたくさんありますが速報性を考えて今日出しました!

各科目の感想(選択科目の除く)

・憲法

1 全体
 生存権!出てしまった。平成22年の司法試験以来のこと、あの時は生活保護法の解釈の問題だが、今回は年金制度を省内で検討するというガチガチの立法論。これは、なかなか勉強したことない人も多いだろう。そもそも、自分も生存権関連の知識は択一用の判例の結論と簡潔な理由くらい…どうするか…(おそらく、堀木訴訟やら学生無年金当たりの判例や調査官解説を読んだのは10年以上前です)。
 設問の形式は省内の任期付き公務員としての意見書の作成か。にしてもこのX、結構、上司にかみついているように見えるな…
 論点は、遺族の範囲の問題か。これは就労促進目的で金額を事実上下げることになる。子供がもらえると生存配偶者はもらえなくなる制度か?なるほど。
 次に支給年齢の男女差の問題か。男女年齢比に関する問題は定年制度の判例もあるし、否定傾向といえそうだ。しかし、社会政策として、ステレオタイプとはいえ、就労や収入の実体に即して年齢差を設けること自体に合理性はありそうだ。そもそも男女差で厳格な基準とするような伝統的な性差を理由とした問題とはいえないだろうか…?ステレオタイプをプッシュすれば違憲の可能性もありそうだが。
 年齢差という点を取っても平等の問題が生じるか、偶然の事情で給付の可否が変わる点も大きいことを考えると何か手当が必要か。とはいえ、年齢は「区別」といえるのかどうか。すべての人は年をとるわけだし。
 次に、激変緩和措置か。現行制度に新制度を適用する際の注意点。この点は老齢加算廃止等の制度後退禁止論等の理屈がったように思うが、判例が正面から認めているものではないはず…とはいえ、既得権保護の要請もあるだろうし、生存権を具体化して権利化したものを制約している…といえるような気がする。表現は気を付けないといけないが。
 激変緩和措置の期間が5年という点はどうつかのうだろうか?本来なら年齢動態とかで予測値を出したりして立法事実を固めていくのだと思うが、この期間が同異根拠なのかあいまいだし、とはいえ、激変緩和措置自体の目的は新制度から旧制度への移行ということだし、期間を設けることは合理的といえる。
 設問2は「あなた」の意見ということだが、うーむ。かける量が少ない。

2 分析
 生存権の出題はかなり難しい。さらに年金制度ということで、年金についての知識があるとないとでは差がつきそう(とはいえ、受験者の大半は学生なのであまり差がつく話ではないし、学生無年金の判例や、日々のニュースで見ているであろう)。憲法は時事問題をベースに判例を使ってどう処理するか?というスタンスの問題が多いので、たしかに年金制度はうってつけだったのだろう。
 しかし、立法裁量を統制するとして財源との関係等重要な事項と思える事柄が問題文に記載されておらず(明示的に財源を検討しなくていいとも書いていない、新規の保険料を徴収しないとするだけ)、これで生存権の裁量統制を書くのはしんどい。
そもそも、25条の条文をベースにした立法の違憲審査の問題を解いた人は少ないだろう(ほとんどみたことがない)。判例で学習といっても、この分野の判例は現行制度をベースにするので、読込が難しい判例でもあるし。
とはいえ、昨年予備論文憲法が、「公務員の労働基本権の制限」という社会権だったことから、予想できないわけではなかった。政教分離かな?ともおもったがまさか…生存権とはという実感だった。平成22年の司法試験のテーマであるから10年に1回くらいの魔物と思っておきたいが、、

3 大勢予想
 現役生は生存権の判例までしっかり押さえている人は少ないと思う。また、予備試験組でも同様であろう。この分野について論文をかけるレベルで習熟している(しようと勉強する)人は、私が受験指導をしている中でも見たことがない。ロースクールでも人権では社会権であるから最後(参政権より後か?)の可能性もあり、駆け足で処理されているのではないか。
 以上の事情からほとんどの答案で、判例をベースにした分析ができているとは到底思えない。抽象的権利説の中身を誤解した答案の出現、堀木訴訟、朝日訴訟等の諸判例の差異等を指摘する採点実感が目に浮かぶようだ・・・

・行政法

1 全体
 配点は35:25:20:20か設問4つで冒頭の問題が鬼門という感じか。社会福祉法ってのはおそらく初めて見る個別法だな。法人に対する監督権の行使というのは事案の類型的には初ではないかな?

2 設問1
 設問1が⑴が勧告の処分性、⑵が原告適格、この辺りは誘導文をみても厚く書く感じだと思うからこれで5枚程度まで生きそうだ。設問1⑵が9条2項の検討不要…ということは準名宛人の話か。これ去年の予備行政法の話じゃないか。あの問題見て、論点把握してないと混乱するだろうな。にしても誘導文が拾っている判例…百選判例か?(後ほど確認したら平成25年の方は百選未掲載、平成18年の方は掲載があるも、自分的な論点ランクCでした)。
 A自体の原告適格や、Aの代表理事のCはまぁ自己の権利といえそうだが、問題はD。仮にDが訴訟に参加すると審理とかどうなるのか…固有必要的共同訴訟三田になりそうだし、面倒だな。回避する方向で検証しないと。いずれにせよ、解散命令でDも理事とい法的地位を失うことになると思うのでその点がメインの説明になるだろうな。
 戻って設問1⑴は勧告の処分性だと行政指導のあれか。誘導文をみても病院法のやつを使う感じか。医療法のような連動みたいな話はないし、罰則もないが、事実上解職勧告を無視すれば、解散命令が控えているといえそうだな…処分性を認めた場合の不都合はあるかな?あまりなさそうだ。
弁明の機会の付与も処分性を肯定する強い要素になりそうだ。ただ、行政手続法13条1号ハで明示的にのぞかれている。この点から、素直に弁明の機会の付与があるから、処分性を肯定と短絡的には書けないだろうな。この点は人事権の行使の側面と行政の通常の処分との違いを検討して答案上に書いていく感じにするといい感じかな。

3 設問2
 設問2は本案メインか。とはいえ、まさか設問2が執行停止の重大な損害のあてはめとは。引用されている判例は弁護士の懲戒に関するもので、たしか弁護士として営業ができないと依頼者関係者の方々に迷惑をかける点を意識していたはず。今回も社会福祉法人で複数の事業を営む以上、利用者従業員等計り知れない被害になりそうだ。この点を考慮して、重大な損害の考慮要素の条文を意識して整理すれば何とかなりそうだ
 設問2⑵は法56条8項の解散命令か、解散命令までの流れも同条文に記載がある。この点は適法としてよいとすれば、まさに解散命令の判断そのものが問題となるな。とすると、56条8項の要件裁量か。裁量基準は明示的にはないって話だけど、過去事例が公表されていることからすればこれが考慮事項になるし、一定の信頼があるとして信義則的な拘束力を持つだろう。それにそもそも、しっかりやろうとしているCを排除しようという命令自体の必要性について法が想定している調査とか一連の流れなのか?この辺りも条文の規定から読み込んで考慮不尽といえそうだな。
 誘導もしっかりあるし書きやすいな。


・民法

1 全体
 事案の長さや設問の形式は例年通り。去年もそうだけど、設問間の事案に連続性がなく、小問をただ解かせる問題だな。ここまで細分化しているなら長文の問題の意味がないように見えるが…にしても冒頭が家族法とはえぐい。
2 設問1
 小問⑴が利用の話だから利用権原があるかだな。あからさまに配偶者といっているから配偶者居住権とかか。過去の判例だと使用貸借を黙示的に設定したみたいなロジックだったけどその話まで書くべきか。とりあえず条文を差がなさないと。あと共有持ち分権で明け渡しができるか?も書くべきか。利用態様が変化している点はどこで使うかな?ちょっと迷う。
 小問⑵は賃料相当損害金なのでここは、拒めなさそう。とはいえ配偶者居住権で利用料とかの処理がどうなるとかはパット出てこないな。この辺りは択一用でしっかり知識を抑えておかないといけないのだろう(あんまり勉強していない…)。とりあえず条文みて何とかしよう。共有権的には持分超えた分は利用料を支払うって話になりそうだ。
3 設問2
 いきなり今度は鯉の養殖か。集合動産譲渡担保か?(これ初見で絶対に思うはず!ブリハマチの養殖の事件が想起させられた!)…と思ったら受領遅滞解除の話か、これは契約から引き取り義務を認定したり、日時で撮りに来ないとどうなるとか諸々事情もあるし書きやすそう。解除の条文もおそらく催告解除で行けそうだ。この辺りを条文に丁寧にあてはめていくために義務を丁寧に認定する感じだな。
 損害額は小問⑵か。これは下落分をどう考慮するか?と履行利益の話だな。かつての受領遅滞の議論だと、法定責任説で履行利益はNGだったが法改正でどうなったか?を示しつつ、今回の釣り堀を営業できなかったこととの因果関係を説明する感じだな。鯉の価格の変動は大正のあのあ判例を使っていくか?それとも契約時で固定とかもありかな?まぁ理由をつけて書けば大丈夫か。
3 設問3
 まさか物上代位がここまで真正面から出るとは、しかも転貸料にいけるか?みたいなやつ。判例の事案よりも事後的に潜脱するように契約を作り変えているし、物上代位できないって結論にはならないだろう。とはいえ、転貸の場合は別契約だから原則NGだと示しつつ、例外的に物上代位できると規範を明確にしていかないとだな。


・商法

1 全体
 設問の数や配点の傾向は同じ。事案もいつも通りという感じ。
2 設問1
 代表者Aの個人的な理由で会社の財産を流用したケースか。Eが株主なら利益供与のような問題だな。去年の予備試験の論文の影響か、利益供与に見えてしまうが、株主でもなんでもないから無関係だな。
 とすると、会社の財産をAが食っているように見えるし、利益相反の間接取引かな?会社とEだから直接取引ではないだろう。でも、この時点で、一人株主か…とすると事後的にGが請求できるのかな?利益相反でなくとも任務懈怠ではあるが、会社の経営判断の話も資金繰りがどうの書いているから書くんだろうな。Gは会社の立場として請求しているというところか。
 小問1はこんな感じか。
 小問2は429条責任だな。乙と甲の契約だから、429条か。債権者という点が、小問1のGとは違うのでそのあたりの差を見せる感じか?Aの任務懈怠自体は小問1とは変わらなそうだし。
3 設問2
 準共有と、再選任だし、訴えの利益の瑕疵連鎖の判例を聞いているのか。問題文に現在が何日かを明確に書いてほしいな…おそらくは決議2の後なのだろうけど。
 株式の準共有の場合の指定については株主総会決議取消との関係は予備試験の方で出題もあるし判例もあるからそこはかけるかな。訴えの利益は直近の判例を読んでないと連鎖しないって方向で書いてしまいそうだな。小問⑴と⑵で事実関係が違うからそれで結論にどう影響があるかをしっかり分けられるかというところか。
この瑕疵連鎖の判例は5月ごろにしっかり読んでいたので助かった(自分が受けていたら、これ読んでなかったらたぶん気づかなかったように思った)。


・民事訴訟法

1 全体
 設問数や形式に変更はなし。設問1の配点が少ないが、論点的にもまぁこれはメインでがっつりかける量が少ないというか…だしこんなものか。証拠、既判力、相殺と控訴、補助参加等まぁいつもの顔ぶれという感じだな
2 設問1
 書証は出ると思ったけど、まさか違法収集証拠排除とは…正直民訴のやつは高裁判例があるレベルの話しか見てないぞ。規範はでっち上げだな。証拠能力の点を誘導でも強く意識しているから、証拠能力とはなんぞやという点を刑事訴訟法との違いとかも意識して書いていく感じか。
3 設問2
 相殺の再抗弁?と思いきやなんだ訴外か。そうすると、訴訟上の相殺の再抗弁の禁止の判例は使わないな。ここで引っかかるやつは出てきそうだな。この点は旧司法試験の問題で出ているし解かせると、よく間違えるなぁ。
 にしても、付帯控訴等なしでというのは空想な感じがすごい。ア~ウの場合の形式的な結論と理由をしっかり整理して書かないと。その際に不利益変更禁止の原則がどう作用するのか?を理由で明示することが重要だな。この点、控訴の利益はやっているけど、不利益変更禁止は答案まで書いている人は少なそうだし、結構差が開きそう。「どのような判決をすべきか」ってのはよくある設問だけど、やっぱり難しい…特に控訴が絡むと特にな…
4 設問3
 補助参加の効力の話か。
 課題2で既判力を明示的に排除していることからしても課題1では既判力が及ぶか触れていく感じだな。既判力の作用場面を特定して実際にどのレベルに拘束力が及んで、どう対応するか意識して書く感じだな。
補助参加の効力は、当事者で対立している場合には及ぶのか?という点を意識して拘束力を検討する感じだな。求償関係と補助参加の効力はまぁやっている人はやっているだろうし。それにしても、問題文でも言っている通り珍しいケースだなぁ。とはいえ、事案の違いが法理に影響するのか…はよくわからんし、ここはみんな書けないだろう。

・刑法

1 初見の感想
⑴ 全体
 最近同じみの小問集合問題、設問形式は変化なし。学説の対立を聞いている問題はないな。しかし、設問1と設問3で自己の見解ではないと明確に書いている点はこれまでにないな…
⑵ 設問1
 共謀共同正犯で実行していない者の詐欺未遂の成否を検討させる問題か。にしても設問形式が、法律論を記載して、具体的事実の検討と⑴と⑵でわけるとは。ここまで明確に分けないと、法律論や理由を丁寧に検討する答案が現れないのだろうか…
 内容としてはうその内容が「財物交付に向けられた」内容でない点をどう考えるか?というところか。これは保護法益や、設問にある詐欺の構成要件の要素から理由をつけていけば何とかなりそう。聞かれ方が特殊なので戸惑う人は多そう。事案の処理については、ナンバリングまでされているし、ここは差がっ開かないように思いたい(実際はごちゃごちゃしてしまうそうだな…)。
⑶ 設問2
 普通の問題だな。よくある共謀した内容と違っちゃうケースか。甲との関係で共謀の射程とか論じるか。
 あと縛って去ったあとに被害者の行為で障害結果が生じているから、因果関係とか強盗の機会性の話だな。強盗の機会性を密接関連性で処理しても因果関係の話にはなりそうだし。乙丙は特に何か有意な差があるように見えないが、何か論点落としているか?3で事前の共謀、4で共謀内容の変化に伴う論点、5が結果の生じた理由に関する事実だし、まぁこんなもんか。
⑷ 設問3
 設問3はより前提が面倒だな…
 事実6は設問をみると、①公務執行妨害罪は成立しない(暴行脅迫がない)②威力業務妨害の威力はある、としつつも、威力業務妨害を否定するということか。これは「公務と業務妨害」の論点で、権力的な行為は実力で排除できる威力の場合には威力業務妨害は否定するという結論だな。
 事実7は電話でうそついているから「偽計」業務妨害罪だな。事実6と比較して威力と偽計で結論が異なる。その理由を明確にすることが問題の意図というところか。
 にしても公務と業務まででるとは…ほんと択一用の知識を論述でかけないといけないのだな…

・刑事訴訟法

1 全体
 例年通りの設問1が捜査、設問2が証拠でいつも通り。捜査は二つ比較する感じ、証拠も二つ比較する感じ。犯人性とか、時間経過の事案の書き方が検察起案ぽいな。とはいえ、全体的には過去問ベースだし、取り組みやすい。事案をうまく使う問題だし例年の過去問の基調のままで安心できる問題。

2 設問1~捜査
 捜査の方は領置の問題だな、平成20年の判例があったし、過去問でも平成21年ごろにでていたような…(後で確認したら平成22年だった)。捜査①はごみ収集場だし、平成20年の判例と同じような感じだな。捜査②の方は、おとり捜査的な側面もあるけど、これは靴の下に傷を入れた捜査手法の判例があったな、あれを参考にしてという感じか。いずれも任意捜査でOKそうだけど、必要性や相当性について事案をがりがり使って処理する感じだな。
 事例を引用することはみんな、できるだろうけど、法的な分析がどれだけできるかが重要そうだな。同じごみを取るといっていも、それぞれの捜査のタイミングで、その必要性が違っている点や、手法の相当性をどう評価できるかという点で差が開きそう。

3 設問2~証拠
 実況見分はよく出ているし、これは平成21年の司法試験の問題と同じだな。平成17年判決をベースに指示説明、現場供述、犯行再現の意味がある問題。とはいえ、①の報告書の方が、指示説明と現場供述、②の方が犯行再現に意味があるかだな。犯行再現はこれ意味ないでしょう…ピッキングの場合と殴った場合じゃ動作を写真で説明させる意味が違いすぎるし。そこで比較させているな。
 もともと、実況見分調書の指示説明、現場供述とか犯行再現写真は難しい論点なのでここで差が開きそうだ。


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