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AWに聴く曲5選

(A) アヴァンギャルドで (W) 訳ワカメになりたいときに聴く曲。あるいは、(A) アヴァンギャルドで (W) ワチャワチャのカオスに浸る曲

とはいえ、物事には限度があります。ぼくのライブラリーには、聴くのにひたすら苦痛を強いる前衛音楽がいくつかありますが、その種の「難解度を競う精神鍛錬ミュージック」は省いてあります。あくまでも他人様に薦めるのが目的ですから。では 5曲、参りましょう。

☆Lamento☆

Title             Lamento
Artist           Prvni Hore
Album       「Lamento」2008
Comment チェコの超絶「変体」バンド、Prvni Hore。マス、エスニック、メタルコア、クラシック、等々のピースが玩具箱をひっくり返したように跳びだします。いかにも演劇文化が盛んなチェコっぽいのかも。70年代 Sparks の系譜のひとつの到達点だと捉えています。

☆Corridor☆

Title             Corridor
Artist           Massacre
Album       「Killing Time」1981
Comment Fred Frith 率いる Massacre の 1st から。このアルバムはぼくの愛聴盤のひとつです。80年当時、ぼく的にメタル・ギターの最前線といえば、King Crimson か Massacre か、でしたね。Frith の作品のなかでは、比較的ストレートに聴けるほうです。

☆Google God☆

Title    Google God
Artist           The Residents
Album       「I Murdered Mommy!」2004
Comment アヴァンギャルドといえば真先に浮かぶのが The Residents。彼らの 50年以上に亘る活動そのものに敬意を表します。本作はただのテクノ・チューンっぽいですが、タイトルの諧謔性でピックアップ。異端であり続けるといつかは王道、にならないか。

☆El Rey☆

Title       El Rey
Artist           PoiL
Album       「Mula PoiL」2018
Comment フランスのぶっとび 3人組 PoiL。パンキッシュなマス・ロックを軸に、ジャズ、オルタナティブ、アヴァンギャルドのフィールドを縦横無尽に疾走します。ジャンル分けは無意味、聴くヤツ次第。なんて言い切れるところが、新世代らしくていいなあ。

☆Zeleny Vinecek☆ 

Title       Zeleny Vinecek
Artist           Iva Bittova
Album       「Bile Inferno」2012
Comment Iva はロマの女優・歌手・ヴァイオリニスト・作曲家。もはや存在すべてが前衛芸術家みたいな才媛です。Fred Frith の「Step Across The Border」を通じて彼女を知って以来、ぼくの Diva リストでは常に上位ランク。独特の歌唱法にもご注目ください。

リスナーとしてのぼくの回想では、アヴァンギャルドといえば Henry Cow から R.I.O.の流れがメインだったように思います。その他、徒然なるままに浮かぶのが、 Brian Eno を中心とした電子音楽 (クラウトロックも含む) からアンビエントの流れ、それと現代音楽の Steve Reich や Philip Glass のミニマル・ミュージックの流れ。いずれも 60年代~70年代に端を発していますが、「プログレ」という言葉はそれらすべてをカバーしていたので、そういう意味では便利至極なレッテルだったのでしょう。今回のお薦めに Fred Frith 関連が 2曲入っているのは、たまたま、というより、必然。

Zappa がないぞ! John Cage はどうした?  というツッコミはもちろん大歓迎です。他にも、80年前後のポストパンク/ニューウェーブのバンドにもなかなかの逸材があります。結局アヴァンギャルドは、サウンド的にどうのこうの、の行き着く先がアティテュードやイデオロギーの問題になるので、あくまでも音楽として語り得る範疇に留めておきます。冒頭でお断りしたようにマジ卍で「難解度を競う」ものは、ただの不快の拡散ですから。

では、イキのいい PoiL のプレイリストをどうぞ。16曲目「Gagaku」のジャパネスクは面白いですよ。

それでは、また。
See you soon on note (on Spotify).

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