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特オタおじさんとの思い出

ちょっと前に、GUが仮面ライダーとコラボしていた。ふらっと立ち寄った店舗で仮面ライダーのデザインがプリントされたトレーナーやパーカーを見かけ、私は嬉しさのあまり、一着購入してしまった。

そう、私は幼いころから特撮が、中でも仮面ライダーが大好きなのだ。

仮面ライダーと出会ったのは、幼稚園年中のころだったと記憶している。当時あまりテレビを観る習慣のなかった私に、同年代の友達はプリキュアを勧めてくれた。おすすめされた通りにプリキュアを観ようとして、私はその前に放送されていた仮面ライダーに釘付けになってしまった。

人生で初めてツイッターアカウントを作ったのも、特撮の情報を集めるためだった。そこでたくさんのフォロワーさんと知り合い、ツイキャスをやったり、好きなシーンを語り合ったり、大いに楽しんでいた。

そんな中で、私はひとりのおじさんと知り合った。そのおじさんは昭和の仮面ライダーも漏れなく愛する特オタだった。若僧の私にも優しくしてくれたことを覚えている。もちろん、直接会ったわけではなく、Twitter上での話だ。

中学生のころ、修学旅行で京都に行った。自由行動での行先はもちろん東映京都撮影所。仮面ライダーたちがたくさん展示してあって、しかも多くの特撮シリーズの撮影でつかわれたその撮影所を見逃すわけにはいかない。

そして何の因果か、前述したおじさんは関西圏に住んでいた。私が「京都に修学旅行に行く」とツイートすると、「近くに住んでるよ」と言っていた。

おじさんは、私が特に好きなシリーズのライダーのカードを持っていて、いつかそれをくれると言っていたこともあり、修学旅行を利用して私にコンタクトを取ろうとしていたようだった。だが、はっきり言って私は怖かった。Twitter上の知り合いとはいえ、全然知らない人だし、何かあってからでは遅い。

「近いし、会ってプレゼントを渡したい」と言ってくれたおじさんに、私は素直に「それはできない」と伝えた。申し訳ない気持ちもあったが、自分のことが最優先だ。プレゼントは欲しかったけど残念だな。そう思っていたら。

「じゃあ、僕が事前に京都撮影所の受付に行って落し物として君へのプレゼントを届けるから、君はそれを落とし主として受け取るのはどう?」

そう提案されたのだ。当時、「なんて名案なんだ!!」と度肝を抜かれたことを覚えている。実際に会うことなく、しかし確実に物を受け取ることができるなんて、まさに目から鱗という感覚だった。今思い返しても、「見知らぬ少女のためにわざわざそこまでしてくれるなんてすごいな…」と思う。

言われた通り、撮影所の受付で私は「落とし物をした」と申し出た。黄色い袋を渡された。中には、たくさんの特撮グッズが詰め込まれ、筆圧の強い字で綴られたポストカードが添えられていた。

そのときにもらったグッズたちは、今でも実家に保管してある。もちろん、ポストカードも一緒にだ。誰にも言ったことがない、少し奇妙だが、大切な思い出だ。

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