昼:会社員 夜:作家
実家に帰省している。
もうすぐ、来年から働く会社の工場・研究所見学があるので、実家の兵庫県に帰ってきている。その工場・研究所は、兵庫県にある。他にも勤務地があるので、来年から兵庫で働けるかは未定。
実家に帰ってきても、noteは書く。いつ、どんな場所でもできるのが、書くことの良いところだ。
畳の部屋でカタカタと文字を打っていたら、母親が「何してるの?」と尋ねてきた。
(以下 ギ=ギアさん 母=僕の母親)
ギ「ああ、noteを書いてたんだよ」
母「note?なにそれ?」
ギ「ブログ的なものかな、SNSの側面も少しあるけど」
母「へえ、作家でも目指しているの?」
ギ「うーん、作家といえばそうなのかなあ」
ギ「本を出版したいとかのこだわりはないけど、趣味で文章は書いてたいね」
母「そうなんだぁ、読者もいるの?」
ギ「まあぼちぼち」
ギ「ちょうどお母さんぐらいの世代(50代)でも、よく読んでくださる方がいるよ」
母「そうなんや〜、その方の息子や娘さんが同じぐらいの年齢だから、気になるのかもね」
ギ「たしかに、母親のような視点から読まれている可能性もあるのかも」
ギ「ライスワークはお堅く技術職で、ライフワークは書くことにするつもりでおるよ(カタカナ横文字使ってるのが、恥ずかしい)」
母「へえー、いいやん」
母「noteのことは詳しく知らんけど、打ち込めるものが見つかってよかったね」
そうなのだ。
今のところ、経済的安定は会社員で担保しながら、空いた時間で文章を書く生活を送る算段でいる。
書くことが好きだとわかった大学3年生の時から、どうやったら書く生活を実現できるか考えてきた。
色々調べる中で判明したことは、作家として食べていくのは非常に難しいということだ。ほんの一握りの人だけ。
創作系の仕事がこのような構図になるのは、あるあるのことなのかもしれないが。
小説家、エッセイスト、詩人。それらの職業で食べていこうとするのは、非常にリスクの高い選択。生活が不安定になる覚悟を、しなければいけない。
経済的な安定は欲しい。お金は大事だ。
だけど書くことは続けていきたい。
となれば・・・
経済的な安定を得ながらも、作家を目指せるような生活を模索するか。
就活をしていた時、僕はそのことを念頭に置いて、業界選びや企業研究をしていた。就活の軸が周りと比べて、特殊だったかもしれない。
「できれば安定してそうな業界がいいなあ」
「書く時間を確保したいので、残業も少ない会社がいいぞ」
「欲を言えば、自分の専門分野も活かせる仕事にしたいな」
このようなチェックリストをこしらえて、ふるいにかけていった。いや、表現が適切ではない。お前は会社を選べるような立場ではないだろ。調子に乗るな。
勉強も成績優秀じゃなかったし、サークルや部活などチームで何かを成し遂げた経験も大学在学中になかった。研究に関しても、たいした成果を上げれていなかった。学食のバイトも、いかにうまくサボれるかを考えていたタチだ。
じゃあ時間はどこに消えていたのかというと、文章を書くこと、文章を読むことに投下されていた。最低限やることをやって、あとは本を読みまくるような生活を送っていた。
そんな堕落した学生生活を送ってしまっていたので、就活は難儀することを予想していた。受けのいいガクチカがないのだから。
さらに、SPIが苦手であることも判明し、ちゃんと足切りされた。わては頭の回転が遅く、すばやく情報を処理するのが苦手なんす。
現実を知った僕は、いわゆる大手企業と呼ばれる会社に入ることを諦めた。「新卒はとりあえず大手を目指そう」という風潮に対し、「あれは思考停止だ、大企業だってデメリットがある」というように、大手を狙えない自分を正当化していた。(無論、大手と中小それぞれにメリット、デメリットはあると思うけど)
イソップ物語の「酸っぱい葡萄」とおんなじだ。自分の手の届かないものに対して、「あれは酸っぱくてまずい葡萄に違いない」と決めつけていた。くしくも、この「酸っぱい葡萄」の主人公は、私と同じキツネではないか。
規模の大きい会社に入社することを諦めたと家族に告げると、微妙なリアクションをされた。やっぱ大企業の方が、安定してそうなイメージあるもんね。あんな物憂げな表情は、できればもう家族にさせたくないと思った。これからもさせるだろうけど。
その後、いろんな会社に目を向けて、就活を再開した。
すると、本社が地元の兵庫にあり、僕の希望にマッチした会社が見つかった。規模としては、中堅ぐらいだろうか。創立してからの歴史も長い。
残業が月平均2~3時間ぐらいで、なおかつ自分の研究分野とも近い。その業界の構造上、参入障壁が高いので、残業時間も短いのだろう。(絶対は絶対にないので、今後もずっとその企業が安定だという保証は、どこにもないのだが。)
一度不安になって、「この残業時間って、本当ですか?」と人事の方に尋ねてみると、本当にそうだった。この質問で、「こいつはやる気がないかもしれない」と思われた恐れがある。安心してください、こう見えて根は真面目っす。
懸念点としては、大企業に比べて給料が安いことだろうか。完璧な条件の企業なんてないので、そこは受け入れよう。無駄遣いは減らして、ちゃんと貯金しておくゾ。
そんないきさつで、僕は来年の春から、この会社で働く。
調べたところによると、作家というものは自分で「作家です」と名乗れば、それはもう作家なのだという。言葉で食べていなくても、作家だと名乗ってしまっていいのだ。だから名義上、誰でも作家になれる。
昼は会社員として汗水垂らして働き、夜は頭を垂らして文章を書こう。
働き出して最初の方は、仕事で疲れまくって、文章を書くどころじゃないかもだけど。
・・・
母「ねえ、noteにはどんな人がいるの?」
ギ「面白い文章を書く人がたくさんいてさあ」
ギ「見てみて、この記事」
・・・
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この創作の街に、また新たな来訪者が現れました。
ちなみに母親は、アカウントは作っておりません。読むだけです。
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