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本を調べてたら自分の記事が出てきた

僕が今住んでいる広島県から関西にある実家に帰省する際、よく立ち寄る本屋がある。

その本屋とは、グランフロント大阪にある紀伊国屋書店。関西在住もしくは関西で育った方ならご存知だと思うけど、グランフロント大阪は大阪駅に隣接する大型のショッピングモール。


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ここの南館6Fに、僕が足しげく通う例の紀伊國屋書店がある。本屋としての規模がデカくて、どの分野の本でも揃ってるんじゃないかと思うほど、読書好きにとってはたまらない空間。店内をぐるぐる回って、気になる本を手に取って立ち読みするだけで、幸せな気分に包まれます。

物理学を専攻しているので、科学の本が並んでいるコーナーにも当然寄ります。量子力学の本などが、ずらりと敷き詰められている。むむ、読んだことがない本がありすぎて、自分が勉強不足であることを思い知らされるぞ。

このコーナーには専門書だけではなくて、科学にそれほど詳しくない、いわゆる数式がそれほど出てこない啓蒙書もある。

それらの本も通覧していると、惹かれる本があった。博士号を持っている海外の著者(どの分野の博士かは忘れた)が、人間の行動について科学的に考察した本。熱力学や深層学習、光の屈折などの話が出てくる。

「そうか、そんな視点があったのか!」とワクワクしながら読める内容だったんだけど、本の帯に「人付き合いをうまくするには」的なことが書かれてあって、購入することは、はばかれてしまった。

というのも、レジの店員さんに、「ああ、この人は人間関係に悩んでいるのか」と思われるのが恥ずかしかったのだ。知人でもないから、そんな羞恥心はいらないのにね。

結局、その日は本を一冊も買わず、紀伊國屋書店をあとにした。



後日、あの本がどうしても気になった。

ネットで調べみよう。Googleで検索をかける。

うーん、著者の名前とか覚えてないな。とりあえず「人間関係 物理」で検索しよう。

検索結果が出てきた。んん。検索上位に、なんか見覚えのあるタイトルがあるぞ。

それもそのはずで、それは自分が過去に書いた記事だったのだ。「人間関係の距離感について、物理で考えてみた」という記事。


一瞬、目を疑った。自分が作った記事が検索でヒットするなんて、想像もしてなかったからだ。最近ネットで調べ物をする時に「noteの記事もよく見かけるな」と思っていたが、まさか自分の記事が出てくるとは。

みなさんの代表作も、キーワード検索をかけたらヒットしました。

嬉しいと同時に、恥ずかしい。平凡で地味な生活を送っている冴えない理系の学生が書いた記事を、Googleでアップしてくれるなんて。

その記事は、たしか当時何も上手くいってなくて、その鬱屈した思いを紛らわすために書いたものだった。


周りが本格的に就活に取り組み始めた中で、就活のやる気が全然出てこない自分。「自分は何してんだろう?」とモヤモヤした気持ち。

ゼミで与えられた演習問題が難しくて全く解けず、「くそっ、くそっ」と自分の能力のなさに対する苛立ち。

だけど、なぜか書くことに対するモチベーションは湧いてきて、それをぶつけて作った記事だった。


「こんなことを書いたって、誰も読まないだろうし、どうせ時間の無駄になるんだろうな」

「だけど、どうせ他のことにもやる気は出ないんだし、書いてみっかぁ」

それはもはや、現実逃避に近かったと思う。



「なんかようわからん記事が完成したが、投稿してみよう」

上手く書けた感触がないまま、僕はとりあえずnoteにその記事をぶん投げた。

すると、読者から「面白かった」とのコメントが、多数送られきた。運の影響が大きく、たまたま多くの人の目にとまったのもあると思う。

いや、やっぱり完全な運。


特に嬉しかったのは、テレビ番組のリサーチ会社(マツコ会議も担当されているらしい)の方から、「文系ですが、めっちゃ面白かったです!」とコメントをいただいたこと。

自分は自然に考えていたことだけど、それは周りからすると斬新な考え方な場合もあるのか」と、気づけた瞬間だった。

それがきっかけとなって、今のような理系視点の記事を書くようになった。「他にもまだまだ面白い考え方が、たくさんありまっせ〜」というように、物理や数学の知識を実生活に結びつけた記事を増やしていった。



「人間関係の距離感について、物理で考えてみた」よりも面白い記事を作りたいけど、その後、超えられる記事ができていない。

「今回も無理だろうな」と思いつつも、書き続けている。過去の自分の記事に勝てないのは、悔しい。

けれどもこうして書き続けた記事が確実にネットに残されていると思うと、辛い時もやめないでよかったなと感じる。魅力的な人たちとも出会えたしね。


noteに時間を割くのはリスクもあり、就活や研究の結果ももしかしたら、noteを始めてなかったら違ったものになっていたかもしれない。

事実、就活と研究は周りの人たちに比べて、ペースが遅かったと思う。

「続けて意味があるのかな」と思い悩む日もあったけど、noteを始めたことに対して、後悔はしていない。

平凡で取るに足らない生活を送っている自分が、ちょっと爪痕を残せただけでも嬉しかった。


これからも平凡な人生を歩むと思うけど(それだけでも幸運なことだけど)、思いついたことは、できる限り書き残していこうと思う。

運良く当たることがあるので。運って大事だ。別に、僕には功名心はないのですが。どちらかというと、知識を広めたい欲ですね。




書店で立ち読みしていた例の本とは、これです。

僕の記事よりもこちらの方が断然おもしろいので、僕の記事を読む暇があればぜひこの本を!

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