コンプレックス、悩み
昨日、歯医者に行ってきた。
コーヒーの着色が目立ってきたので、クリーニングしに行った。
以前の記事にも書いたが、僕の悩みの一つに、歯に汚れがつきやすい、ということがある。
「なんで自分の歯は、こんな煩わしいようにできているんだろう」と、恨めしく思いながらも、ぐずぐずしてても何も解決しないので、クリーニングしに昨日行ったわけだ。地味にコンプレックスになっている。
*
受付を済ませ、待合室で待機。
横に座ってたちっちゃな男の子が健気に絵本を読んでいたが、一方の僕はそわそわしていた。実年齢は僕の方が上だが、精神的な年齢は完全に負けている。敗者。歯医者だけに。
歯医者がこわくて仕方がないのだ。かつて大きい虫歯を治療した時に、あの物騒なドリルで奥深くまで削られ、それ以来、「歯医者=恐ろしい場所」という等号が成り立つようになった。
僕はどちらかというと、虫歯が出来やすいタイプ。クリーニングしに行った時についでに小さな虫歯も発見され、治療するということも何回かあった。
なので、「クリーニングするだけだから、何もビビる必要ないじゃん」と言われても、こちらは常に「もし虫歯が見つかったら、またあのドリルと対峙しないといけない」という不安でいっぱいなのだ。
だが背に腹はかえられぬ。あの恐ろしい場所に行かなくては、歯に着色汚れがついたまま、日常生活を送ることになる。勇気を振り絞って、恐怖の診察台へ向かわないといけない。
「〇〇さーん」
ついに呼ばれた。鼓動が早くなってきているのが、自分でもわかる。闘争・逃走反応が起こっている。
例の処刑台(診察台のこと)へと向かう。
まずは、女性の歯科衛生士の方に、歯を一本ずつ検診してもらう。カルテに、一本一本、歯の状態が記入されていく。ただの歯科検診なのに、全身に力ががちがちに入っている。
歯科検診が終わると、院長がやってきた。丸いメガネをかけた、優しそうな目をしている男性の院長。目つきがキリッと変わり、院長も歯の様子をチェックする。
「歯に着色汚れがあるので、クリーニングしときますね」
き、きた!虫歯がなくて、歯のお掃除だけで終わるやつだ!
脳内でパフパフラッパが吹かれ、祝福ムードになった。やったー、歯をドリルで工事されなくて済むぞ。
いや、ギア3よ。ここは一度、冷静になろう。このままでは一時的に歯が綺麗になるだけで、またしばらくすると歯に汚れがついてしまう。
なぜ歯に着色しやすいのか、理由をちゃんと聞くことが大切だ。前は歯科衛生士さんに聞いたけど、こんどは院長だ。
「あのー、なんでこんなに汚れがつきやすいんですかね?」
「うーん、個人差かなぁ」
「コーヒーとか紅茶を飲んでも、全然汚れない人もいるし」
「タバコとか吸われる方なら、着色しやすいけど」
「タバコは吸ってないですね」
「そうだよね、ああ、あとは口の水分量によっても変わるかもしれない」
「まあ、半年に一度、今回みたいにクリーニングしにきてください」
結局、個人差かぁー。とりあえず水をよく飲んどけば、いくらかマシになるかもしれないが。
誰一人として同じ人はいないけど、できればこんな頻繁にクリーニングに通わなくても済む歯を持つ個人がよかったな。
いや、他に大きな体の悩みがないだけでも、感謝すべきだ。あと、定期的にクリーニングにいくことで、手遅れになる前に歯の異常を早期発見できる確率も高まるぞ。物事は考え方次第だ。
そんなことをあれこれ考えながら歯のお掃除を受けていると、クリーニングが終わった。
途中、歯科衛生士さんがくしゃみを必死に我慢しながら歯石取りをしていて、「笑ってはいけない、笑ってはいけない」と念じながら、僕も必死に我慢していた。
ずっと「へっ、へっ、へっ、、くしゅっ」と、小さなくしゃみをもらしていた。
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