自己受容と周期表
明るくて面白い文章を書ける人に、僕は憧れる。なぜなら、自分が書けないから。
真似して自分も面白い文章を書こうとしたのに、結局どよーんとした文章になる。
暗い文章は読まれないと分かっていても、どうしてもそっちに流れてしまう。
ネガティブ重力場があって、そこに吸い寄せられてしまうのだ。
ほら、もうこの記事もネガティブな路線に入ってる。
だけど、最近は暗くなりがちな自分の文章も、受け入れられるようになってきた。
一年近く続けて思ったのは、自分は自分の文章しか書けないということ。
「何当たり前のことを」と思われるかもしれないが、これはついつい忘れがちのことだと思う。
誰かに憧れても、その人になることはできない。近づくことはできても。これは、文章にも限らずにね。
僕は物質の研究をしているので、周期表を見る機会が多い。水素(H)とか銅(Cu)とか、元素が表になって並んでるやつです。中学の理科で習うのかな?
この周期表を見ていると、元素と人間って同じだよなーって、感じる。
例えば、鉄(Fe)くんが金(Au)くんになりたいと言ったとする。
「僕も金(Au)くんみたいな、金色に輝く存在になりたいです!」
わかる。めちゃくちゃわかる。金(Au)くんは、キラキラした存在だ。オリンピックの1位は、金メダルだし。希少価値が超高い。
だけど、鉄(Fe)くんよ。君はどう頑張っても、金(Au)くんにはなれない。錬金術が失敗したのは、君もよく知っているだろう。
それよりも君は、大事なことを忘れている。君には、君しかできないことがある。
君がいなければ、建築物や機械は作れない。なくてはならない存在だ。君には君の、大事な役割があるんだ。金は量が少ないという弱点がある
自分は地味な金属だと思っているけど、僕たちの生活を支えている、かけがえのない存在なんだよ。
だから、他の元素になりたいと思うのはもったいない。立派な鉄(Fe)として、役割を全うするんだ。
例として、鉄をモデルにしたが、その他の元素も同じだ。それぞれの元素には、その元素にしかできないことがある。
自分のことを、他の元素は羨ましいと思っているかもしれない。金は鉄のことを、「あんな応用範囲が広い元素、他にないっすよ」と妬んでいるかもしれない。
この元素の話のことが、人間にも当てはまるよなーって感じたので、それを記事にした。
自分を受け入れるのは、難しい。だけど、自分を嫌いになってしまうと、生きていてつらいと思う。好きになる必要は、別になくてもいいと思うけど。
元素のように、人間もそれぞれの個性がある。ある程度は努力で変えられるかもしれないけど、どうしても変わらない部分もある。
欠点や弱みもあるけど、それもひとつの個性なのだ。改善していく努力は、必要だと思うけど。
ありのまま自分を受け入れる方法として、周期表の元素たちを思い浮かべることを、おすすめしたい。
アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、酸素(O)たちみたいに、元素の種類は山のようにあるが、彼らに対して「他の元素になれ!」とは責めたりしないだろう。
なのになぜ、自分のことになると責めてしまうのか。自分も元素と同じように、受け入れてあげよう。
結論
自分を受け入れられなくなった時は、周期表を思い出そう。そしたらちょっとは、今の自分を受け入れられるかも。
自分を磨く努力をするのは、その後でいいんじゃないのかな。
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