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【おてて絵本】おたすけネイル

三連休前の夜、お風呂上りに子どもたちにネイルをした。

ふたりともウキウキ笑顔。

眠いけど両手を広げて乾燥させる。

ヒヤヒヤ

ウキウキ

ニコニコ

ねむねむ

・・・

さぁ物語がはじまるよ


むかしむかしあるところに

おしゃれが大好きな女の子がいました。

お小遣いで貯めたお金を大事そうに財布にしまい

お店でずっと気になっていたマニキュアを買いに行く。

ディスプレイの中でもとびきり目に飛び込んできたのは

ピンクベージュベースの艶やかなラメ色。

これなら背伸びしすぎていないお姉さんな雰囲気と

この秋とびきり楽しめそうなカラーだった。

女の子は財布の中身が全て飛んでいく恐怖を乗り越えて

たまらなく笑みが溢れるのをマスクの中に隠しながら

その子をおうちに連れて帰った。


とぽん

ぬり

ぬり

とぽん


できた。


両手をかざしながら

うっとり。


次の日、学校では苦手な算数の授業で先生に当てられて

答えがわからなくてモジモジしていたら

クラスのやんちゃな男の子にイジワルされた。


「あーあ、みんなの前で恥ずかしくて

すごくやんなっちゃう。。」


女の子が下を向いて顔が赤くなるのを感じていた。

みんなの視線が視界に入って余計に目の奥がじわじわした。


するとネイルがひらり羽のように開いて中から

小さな紙切れが飛び出してきた。

親指から出てきた紙切れには、こんなメモが。

「大丈夫だよ」

人差し指から出てきた紙切れには、こんなメモが。

「顔を上げて、笑ってよ」

中指から出てきた紙切れには、こんなメモが。

「あいつ、君のこと、好きなんだって」

薬指から出てきた紙切れには、こんなメモが。

「許してやってよ、君よりまだまだ幼いみたいだから」

小指から出てきた紙切れには、こんなメモが。

「赤ちゃんみたいだね。くすっ」


それをみて、

女の子は顔を上げて、クスッと笑った。

その場の雰囲気が変わって、

男の子も照れ笑い、

「ごめんな」

と優しい目で言った。


ネイルは魔法。

私だけの秘密の魔法。


おしまい。


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