そうめん

一本のそうめんを食べるのに、僕は5時間かける。
最初の一口を味わうにあたって、まずは、そうめんの香りと、家の生ぬるい空気を鼻で味わうのだ。
こんな感じで僕はそうめんを5時間かけて食べ進めていく。
真ん中くらいまで食べると、お母さんがじっと僕を見つめた。

「次は5時間越えるんちゃうん?」

お母さんは僕に笑いかけて、洗濯物を取り込んだ。
それもそうだな。今日は更新できそうだ。
次は、姉の声が家の外から聞こえてくる。

「ありがとう!じゃあ、また月曜日!え?、、あ。うん。。、私も好きだよ」

姉は顔を赤らめて帰ってきた。

「夏やなあ」

そうめんを食べる僕を見て、何の気ない素ぶりで、姉は言った。そんな姉を僕は、春やなあ。と思って、最後の一口を終えた。

5時間30分

よっしゃ。更新した。

たった一本のそうめん。たかが一本。されど一本。
でも、僕のお腹はなぜだかいっぱいだった。

「夜ご飯できたから、準備して〜」
家のどこにいても聞こえてきそうなお母さんの声。

「わ!今日そばやん。良かったな?」
いたずらに僕に笑いかける姉の声。

「そうめんからそばか。。中々良いものだ。」
僕の心の声。

僕の日常。
超絶くだらなくて、超絶しあわせだ。

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