眠れない夜、中年看護師は癌の戦友に会いにいく～前夜～

 

「おれ、スキルス癌ってヤツで治らないかもしれん」

そう、電話で伝えてきた。
20年以上も、バカなことしたり
物販したり
BARの経営しながら、レザーやナイフのデザインしたり、作ったり。

職人同士が協力できるようなサポートを作り上げてきた。

筋骨隆々、格闘技は一通りやってきた。
奥さんも娘さん達もいる。
付き合いが古いから、小さい頃から
3人の娘達には、よく懐かれる。
その度に、ヤキモチ妬く位家族が好きで
他人が飢えたり、困ったりするのを放っておけない、何とか働かせる場所を手配しようとする。
そんな時間ないのに寝ずに動いて作る。

勉強は出来ない、学校やテストの勉強は。
だが、ビジネスに必要な知識と経験、必要な資格。

自嘲して
「おれは、まともに学校行ってないから、頭使うのは晴秋に任すよ」

ちがうよ、お前は学校では教えてくれない
ものを誰より真剣に学んで成果を上げてきたんだ。

だから、俺たちは出来ることをしてきた。
ものづくりの技術を教えてくれた、絵も、売り方も。
お前から教わったんだ。

3ヶ月前、電話があった。
「おれ、検査入院することになったから。少し迷惑かける。」

その時から、癌だった。
家系もあるだろうが、不規則な生活やストレス。原因は、話してくれなかった。

 部位はどこだ？

大腸癌だ。
その時にスキルスだと話した。

すぐに、電話はきれた。
病院だから長話は出来ない

 一時的に退院したが、家族と過ごしていた
家族を本当に愛しているから、邪魔はできない。LINEで一言「たのしめ」「おう！」

そのやり取りをした後、しばらく連絡が取れない。

今月はじめに連絡がやっととれた
「見舞いくるぞ？」「お前はくるな」
理由を、聴いたが返信はなかった。

奥さんと、娘さん達から少し話を聴けた
「プライドが高いし、かっこ悪いと思っるみたいで」

ずっと悩んでいた。
閣下が「あたしが連れてくから、行くよ！会えなくなるより！会いにきたよ！会えなくてもきたぞ！それでいいじゃん！」

本当にそうだ。
で、LINEで一言
「明日、行くからな」
返信はない。

多分今夜は眠れないだろう。
でも、車は閣下が出してくれて
おれは、手紙でも書こうと思ってる。