見出し画像

だんだん高くなるドライブ【毎週ショートショートnote】

「エレン!」
「… ベン!」

僕は花嫁姿のエレンを新郎から奪い取り、エレンと手をつなぎ教会の外へ走り出した。
教会の扉を十字架でかんぬきにしてロックした。
鬼の形相でロビンソン夫妻がにらみつけている。

僕らはちょうどやってきたバスに飛び乗った。
「ベン、私たちこれからどうなるの?」
「もう後戻りはできない、君を一生離さない」

バスを降りて友人のドクの家に向かった。

「どうしたベン、顔色が悪いぞ、悪い奴らにでも追いかけられているのか?」

「悪い奴らは僕らの方さ、とにかくどこか遠い所に行きたい」

「わかった、そこのデロリアンに乗って、過去でも未来でも好きなところに行けばいい」
ドクは花嫁姿のエレンを不思議そうに見ながら言った。

僕とエレンはデロリアンに乗って走り出した。
時速88マイルになったときデロリアンは空を飛びだんだん高くなり、まるで宇宙の風に乗っているようなドライブだった。

カーステレオからはサウンド・オブ・サイレンスが流れていた。


410文字

たらはかにさんの企画に参加させていただきます。




この記事が参加している募集

#ほろ酔い文学

6,054件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?