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guruguru8
バイリンガルギョウザ【毎週ショートショートnote】
彼から別れて欲しいと言われ、私は小さく頷いた。
彼とはマッチングアプリで知り合った。彼は裕福な家庭に育って、一流大学を卒業して一流の商社に勤めている。
私は貧しい家庭に育ち、高卒で小さな会社で事務員として働いている。
そんな二人のデートはいつも吉野家か餃子の王将、支払いはいつも割り勘だった。彼がいつも奢ると言うのだが、私がどうしても割り勘にして欲しいと言った。
彼は中国語が話せるバイリンガルと言っていたが私にはそれが嘘だと分かっていた。
彼はギョウザのことを中国語で「コーテー」と言うと私に教えてくれたが、それは餃子の王将 独自の店内用語だ。
たぶん一流商社に勤めているというのも嘘だろう。身に着けているものを見ればそんなに裕福ではなさそうだ。
実は私も嘘をついていた。家は裕福で中国語を含め五か国語を話せる。
私の家庭環境に関係なく私を愛してくれる人を探すためにいつも嘘をついているのだ。
わが財団の皇帝候補を探すのも苦労するのだ。
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