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ほんの一部スイカ【毎週ショートショートnote】

「左様でございますか、スイカを作られて…それで失礼ですが年収はどれくらいに…」

「お母さん、ちょっと失礼じゃない!」

「麗子、これは大事なことだよ、お父さんもお母さんもお前には苦労をさせたくないんだよ」

「麗ちゃん、お父様とお母様の気持ちは当たり前のことだよ、
正直申し上げて今はそんなに…でも3年後には…」

俺はご両親に今開発しているスイカの新種を食べてもらうことにした。
そのスイカを一口食べるとお父さんの顔色が変わり、俺に向かって口を開いた。

「先ほどからの数々のご無礼をお許しください。ふつつかな娘ですがどうかよろしくお願いいたします。」深々と頭を下げた。


3年後

俺が開発した新種のスイカ「レイコ」は世界各国で爆発的に売れ、信じられないくらいの高値で売買され、幻のスイカと呼ばれるようになった。
俺には莫大なパテント料が入り大きな家を建てることができた。
見る角度によってほんの一部スイカに見えるその家は「スイカ御殿」と呼ばれた。


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