スポーツマン精神って⁉️
小学生の頃から、足が速そうに「見えた」。細身の私は、スポーツができそうに見えたけど、実は鈍臭くて、体操では後ろから数えた方が明らかに早いほど足も遅いし、球技も苦手だった。
ドッジボールでは、逃げるのはうまかったけど、取って投げるなんてことをしたら、すぐに当てられてしまう。得意なのはポートボールのゴールくらいなもの。あと水泳も何故か得意だった。
そんな見た目とそぐわない事にコンプレックスを抱いていた私は、6年生の時、スポーツ少年団に入団する。学校でやっていたし、入団は自由だ。
ある時、2組に分かれて円陣をくんで、バレーボールで1人一回必ず打って、ラリーを30回続けたら終了という課題が出された。
1回…2回…と順にレシーブしていく。もちろん、私も打つ。大袈裟にいうわけではないけど、そこそこ人に返せるように打ててたはずだった。
でも、隣のチームが先に終わると、俄に雰囲気が変わった。「さとちゃんに回すと変な方に打つから回さないようにしよ」そんな声が、独特な苗字のさとみちゃんから指示のように発せられた。
その回は、その通りに完全に私を外してボールを回された。
30回は終わった。
「私、1回も触ってない」呟く声にギロリと振り向くさとみちゃん。無視をするみんな。
スポーツってこんなもんなんだ。
私の中で、スポーツに対する憧れも爽やかさも全部飛んでいくのを感じた。
何がスポーツマン精神だ
蹴落として、意地悪するだけじゃない
それ以降、集団競技は大嫌いになった。野球もサッカーも。「みんなを勇気づける」とか何を偉そうにと思う。
「スポーツマン精神に則り、正々堂々と」
鼻で笑うわ。
でも。これも障害のせい?単なる運動音痴?
高校に入って、体育の授業でやったバレーボールはすっごく楽しかった。
小学生の頃、50メートル走はやっと9秒台に乗ったところだった私は、中3の時には7秒台に手が届くところまで早くなった。遅咲きだったんだろう。人より何年か、発達が遅かったとすれば、辻褄が合うかもしれない。
けれど、あの悔しさとかなしみは、私の胸に、噛み終えたガムのようにへばりついて離れない。スポーツマン精神を信じている人、スポーツをすれば、なんでもよくなると信じてる人には、内心、冷ややかな目を向けてしまう。
ごめん、さとみちゃん、私、まだ、許せそうにないや。
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