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London taxi 漆黒のBlack Cab

遠い昔にロンドンを訪れた時の話。

飛行機の窓から見えたグリーンがただ美しかった。芝生、公園、もしくはゴルフコースだったのか。

ヨーロッパが舞台の小説を好んで読んでいたのだが、本物のロンドンの芝生があんな美しい緑色だなんてどこにも書いてなかった。

大英博物館はロゼッタストーンの記憶しかない。黒っぽい石に謎の文字が並んでる教科書に載ってるアレである。

昼間は大英博物館を満喫。夜タワーブリッジへタクシーで向かった。

NYを走るイエローキャブに対してロンドンのタクシーはブラックキャブと言われている。

ロンドンタクシーは昔は広告のラッピングのない車体ばかりで、漆黒の車体がなんとも良かったのだけど。

イギリスには黒が似合う。
ブラックユーモア。ブラックタイの正装。
大英帝国の征服される側からみた暗黒の歴史。

そんなイギリスを色で体現してる鉄の塊、Black  Cabがcityを縦横無尽に駆け巡っていた。

漆黒のその車は、その存在だけで十分観光客に大英帝国をadvertiseしてる。ラッピングなんてせずともさ。

俺達の国、色々な面で真っ黒だけどなんか文句ある?ってな具合で。

近年訪れたロンドンで、colorfulな広告を纏ったブラックキャブを見て愕然とした。

君は真黒なままで良かったのに。無理に時代に迎合せずとも。

太宰治の斜陽の表紙が頭を過った。

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