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カクテルの名前〜sirou

カクテルの名前シリーズの完結編になります。

瑛太   詩朗さん、、、やっとみつけたよ

詩朗   、、、瑛太さん、、、?

瑛太    そ、僕だよ、、、15年ぶりだよね、、、

詩朗   なんで、、、君は、、、こんな所に、、、

瑛太    それは、こっちのセリフ、、詩朗さんが、、、まさか、、、花火職人になっちゃってたなんて、、、
正直おどろたよ、、、
探したよ、、、急に居なくなって、、、あのバーも、人出に渡したんだね、、なんにも言わないで酷いじゃない、、、

詩朗   瑛太さん、、、申し訳ない、、、俺は、、、

瑛太     いいよ、もう、怒ってないし、、、あのあと、詩朗さんの事をいろんな人から聞いた、、、
奥さん、、、自殺したことや、その後、詩朗さん、、、壊れて、、、どっかに入院したらしい、、、とか、、、
で、探し回ったけど、、、みつけられなかった、、、

詩朗    、、、妻は、、、あかりには、、、ホントに申し訳ないことをしたと思ってる、、、今でも、ずっと、、、

瑛太    ずっとずっと謝り続けているんでしょ、、、奥さん、、、あかりさんに、、、つい、最近、詩朗さんがつくった新作の打ち上げ花火見たよ、、、
綺麗だった、、、すごく、切なくなった、、、、胸がさけそうなくらいに、、、新作の花火の名前、、、あかり。だもんね、、、奥さんに捧げたんだよね、、、花火

詩朗   そうだよ、、、天国にいる、あかりに、、、届けたかった。あかりのことで、ボロボロになった俺は、、、後を追って死のうと思ったんだ、、、
海に入って溺れ死ぬか、、、と、思ってた時、、、遠くで花火があがった、、、闇夜に咲く花火が、、、
俺に死ぬな、、、死んで詫びれるような事じゃない、、、それより、あかりを喜ばせる、美しい花を咲かせろ、あかりの魂を慰めてやれって訴えかけてくるように思えてならなかった、、、

瑛太    それで、花火職人になったんだね、、、

詩朗    こんなことしても、あかりが喜んでるかわからないけど、、、でも
俺は打ち上げ続ける、、、ずっと死ぬまでね、、、花火の名前は、毎回、ずっとずっと、あかり、で決まりにしてる。ついこないだあげた花火はあかり玉3号だよ。

瑛太   そうか、、、うん、そうだね、、、これからも、ずっと、あかりさんの為に花火、つくって、打ち上げてあげなよ、、、僕も、あかり玉がどんなふうに打ち上がるか見ていたい、、、ねぇ、、、詩朗さん

詩朗    ん?なに?

瑛太    あのさ、、、僕も、あかり玉つくるの、、、手伝えない?、、、あ、、、いや、いいんだ、、、お茶くみ、雑用、コピーとり、買い出し、、、なんでもやるから、、、

詩朗    、、、瑛太さん、、、笑、、、オフィスじゃないから、、、コピーとり、、、は、必要ないけどね、、、
どうしたの、、、急に、、、そんなこと言って

瑛太    詩朗さん、、、、詩朗さんてさぁ、、、ほんと、人の気持ちに疎いよね、、、昔も、、、今も変わらないな、、、笑

詩朗    、、、ごめんね、瑛太さん、、、なんか、傷ついた?、、、ほんと俺はダメな奴だから、、、瑛太さん、君を深く傷つけないうちに、、、もう、帰って、、、会わないほうがいい、、、きっとね

瑛太    笑、、、詩朗さん、あなたって人は、ほんとに、、、しょうがないなぁ、、、あなたが急にいなくなって、僕がどんなに深く傷ついたか、、、あなたは、もう、僕に消えない深い傷をつけてるんだよ、、、いまさら、、、だよ、まったく、、、

詩朗     瑛太さん、ほんとに、悪かった、、、すまない。でも、あぁするしかなくて

瑛太   わかってる、、、僕だって、あかりさんに負けないくらい、あなたを見てる、、、だから、、、もう、なんにも言わないで、、、ねぇ、、、詩朗さん、、、僕を褒めてよ、15年も、あなただけを想い続けて、探して探して、、、僕は、、、やっと、あなたをみつけたんだ、、、詩朗さん、僕は、あなたが、、、
(遮るように)

詩朗   瑛太さん!言わないで、、、言われても、、、俺は、、、もう、この全てをあかりに捧げて生きるって決心した、、、だから
(遮るように)

瑛太     わかったよ!じゃ、、、僕はもう、あなたの気持ちなんて、、、分からい人間になるよ。あなたの気持ちなんて、ぜんぜん分かんないから、、、僕が、ワガママであなたのそばに張り付くだけだ

詩朗  、、、瑛太さん、、、それじゃ、、、ストーカーだよ、、、笑、、、ねぇ、、、やめて、抱きついたりしないで、離れて、、、君は、、、ずっと変わらないな、、、今も、、、昔も、、、可愛くて、、離れ難くなる、、、もう、俺を悩ませないで、、、

瑛太   嫌だ。離れない、、、抱きしめ返してくれなくていい、、、ただ、僕があなたを抱きしめたいだけ、、、
僕はあなたの迷惑なストーカーで、、、かまわない。

詩朗      瑛太さん、、、(ため息)
、、、、じゃ、、、、君は空気だ
そこに、ただいるだけだ、俺は、ただ、君が居ようがいまいが、気にもとめないよ

瑛太    いいよ

詩朗    話しかけたりもしない

瑛太   いいよ

詩朗    、、、、可哀想すぎるよ、君が、、、辛くなるよ、、、

瑛太    いいよ、、、いいんだよ、、、
だから。もう黙って、、、目、、、閉じて、、、詩朗さん、、、好きだ、誰よりも何よりも愛してる、、、
あ、、、そうだ、、、僕ね、今、バーテンダーになったんだよ、、今度、とっておきのカクテル飲ませてあげる、、、カクテルの名前は『sirou』

おわり





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