森見登美彦氏 『太陽の塔』
森見登美彦氏の小説が好きです。
ファンタジーかつコメディでありながら、京都らしい風情、風流な言葉遣い、、、森見ワールドにどっぷりとハマっております。
森見登美彦氏を初めて知ったのは大学生のとき。
友達みんなで宅飲みをしているときに、ある男の子が、面白いアニメがあるんだと言って観せてくれたのが、『四畳半神話体系』でした。
バラバラだったストーリーが繋がっていく感じとか、硬いのに無駄がなくリズムの良い文章とか。京都の街で繰り広げられる、ハートフルでユーモラスなドラマ。
その全てがドストライクに好きで、以来、森見氏のファンになりました。
↑『太陽の塔』は、2〜3年前に読んだ作品。
作中で、大好きな一節があります。
ちょっと長いけど、引用しますね。
物語の終盤で登場するこの一節。
冒頭「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。」から始まって、なんだかんだと理屈をこねていた主人公が、ここに来て初めて、元恋人のことを素直に回想します。
淡々と事実を語るように見られるこの文章。
好きとか可愛いなんてひと言も書いてないのに、不器用な主人公が彼女のことをとてつもなく愛おしく思っていたことが伝わる。彼女のひとつひとつが、好きで、可愛くて、たまらなかった。幸せだった。そんな彼女に今でも執着があることを、ここでやっと認めたような、そんな風に私すのは読みました。
最後の一文なんて最高に好きです。
「猫みたいに丸まって、傍に座る私を置いて、夜ごと太陽の塔の夢を見る」
なんて美しい文章だろう。
まどろみながら夢と現実を行き来する、幻想的なイメージが迫ってきます。
うん。好き。
森見氏の小説は他にもいくつか読んでいて、どれも大好きですが、まだ全部は読めていません。
いつか全制覇して、森見登美彦好きと出会って、語り合いたいと思っています。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?