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自然と食とわたし。

はじめに


私が食に興味を持って、こうして記事を書こうと思った理由について、自分の中でまとめてみようと思います。
以前までは、森林をもっと深堀するぞ~と思っていたのに、今では食の世界に足を突っ込み始めています。このような大きな方向転換を可能にしてくれたのは、フィンランドで生活して、自分のやりたいことをやっている人々に出会えたからでしょう。

1.自然が好き


 私は、食べることも大好きですが、自然も大好きです。一言で自然と言っても、漠然としていますよね。でも、多くの人がそうであるように、自然の中にいると、自分が生きていることを強く実感します。また、子どものころに母の庭いじりを手伝っていた時から、植物に興味がありました。とりあえず、自然に関われそうだからといった安直な理由で入った農学系の学部では、農学のみならず、生態学や地球科学を学ぶ機会がありました。混沌とした秩序のある自然界の複雑さを、生態系という概念で理解しようとすることに魅了されたのです。そこで、環境保全や自然保護をキーワードにしようと思っていましたが、北海道大学の公開森林実習で訪れた森の美しさを忘れることができず、フィンランドで森林科学を学ぶことを決意しました。

北海道大学演習林


ここまでは、全く【食】と関係ないように聞こえるでしょう。農学を学んでいたこともり、農業実習が授業であったり、イチゴ農家やブドウ農家でアルバイトをしていました。植物を手間暇をかけて育てたら、その分だけ、おいしい野菜や果物とした形で現れることがとても面白かったのです。自分で育てた野菜や果物は、とても特別でおいしく感じました。また、私の働いていたイチゴ農家さんは、土づくりを大事にし、米ぬかやもみ殻、微生物、鉱物を使っておいしく、強いイチゴを自然の力で育てようとしていました。しかし、JAが指定する農薬散布回数を満たすために、必要がないのに農薬をまかなければならないと、JAのやり方に疑問を抱いていました。

愛と手間の詰まったバイト先のぶどうといちご


ヨーロッパに比べ、湿度が高く、害虫被害の出やすい日本では、農薬や肥料を過剰に使いがちです。しかし、自然の原理に則れば、自然環境に優しい農業を行うことができるでしょう。気候変動を無視することは、これ以上できない世の中になっています。フィンランドに来て、日本との意識の差や社会での扱われ方に衝撃を受けました。また、環境にいい(と思っている)ことをした後は、自分の気持ちもよくなりました。

過剰な農林水産業は、土壌、水、大気、生物多様性などの自然環境に多大な影響を与えてきました。例えば、肥料過多による土壌の劣化・窒素流失による水質汚染、農地拡大のための森林伐採、過剰灌漑による塩害・砂漠化、大規模畜産による温室効果ガスの排出量の増加、養殖における海水汚染・マングローブ林の破壊、また設備や器具を稼働させるための燃料や電気の消費、、、、などなど挙げだしたらきりがありません。簡潔に言えば、土壌劣化、森林破壊、生物多様性の減少、病害虫被害、工業的な農業廃棄物が大きな問題として挙げられています(参照)。ただ、これらが簡単に解決されないのは、農林水産業自体だけの問題ではなく、政治や経済を考慮しなければならない複雑な問題だからでしょう。(何ごともそうなんですが😂)
では、何のために、農林水産業をするのでしょうか。もちろん私たち人間が食事を続けるためです。さて、【食】を考えるのに、”自然”との関係を考えることは自然なことでしょう。

では、私たちに何ができるのでしょうか。誰もが、野菜をゼロから育てるのには無理があります。私がホストファミリーから教わったアクションの一つとして、地元の旬の(できたら有機)野菜を買う選択を取るのはいかがでしょうか。旬の食べ物っておいしいですよね!お店で野菜を前にしたときに、輸送や季節外の作物を育てるために必要な燃料を考えてみてください。
野菜が育たないフィンランドの冬の間に私たちは家で、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、ネギ、キャベツ、ビートルート、その他根菜といった長期保存がきく野菜しか食べていませんでした。レタスもトマトもきゅうりも買いませんでした。しかし、料理次第で毎日おいしく飽きずに食事を楽しむことは可能でした。そして、春や夏を迎え、別の旬の野菜の登場すると、それだけでとてもわくわくして、ただの野菜が特別な食べ物に感じました。

冬は寝室育ちのチコリでサラダ!

2.料理が好き


 また、私は料理そのものが好きです。料理は科学実験や芸術と似ていて、材料に手を加えて、おいしい料理ができるのは魔法のように感じます。また、時間や手間のかかる料理という過程を経験することで、その料理を無駄にせずに食べ切ろうと思えます。世界では、毎日飢餓で命を落とす人がいるのに、毎日廃棄される食べ物が大量にあるもの事実です。気候変動や紛争により、食糧危機が深刻な問題である世の中で、どうしたら食べ物を無駄にすることができるのでしょうか。

フィンランドの真冬に見つけた、売れ残りバナナ。


また、他の人と共にする料理の場は、楽しく、リラックスしたコミュニケーションを可能とさせてくれます。そして、共に作った料理を共に食べることで、より幸せな時間と感じるでしょう。人が作ってくれた料理は、おいしく感じることがありませんか?
私は、レストランや既成品の料理よりも、実際はおいしくなかったとしても手料理の方が好きです。手料理では、誰が、どんな材料を使って作ったかということが明らかです。また、添加物を入れる必要も、過剰な包装をする必要もありません。そして、料理をした人の愛情を感じることができます。その点がしっかりとしたレストランは、選択肢になります。(ただ、そのような場合金銭的な制約が…。)
しかし、一番大事なモチベーションとしては、私の料理で誰かを喜ばせたり、幸せにしたり、驚かせることができるからです。料理を通して、自分の存在を再認識することができるからでしょう。

ヘルシンキで1番美味しい寿司は家だね。

3.新たな経験を得ることが好き


 世界各地で食文化は異なります。その土地ならではの気候や文化、歴史を反映しています。つまり、その地域を五感で楽しむことを可能とします。何事も挑戦しようというマインドの自分にとって、新たな食べ物を試すことは、新たな地での経験そのものなのです。また、旅先で現地の人に現地の食べ物を紹介してもらったときに、たとえ言語が伝わらなかったとしても、私が楽しんでいる・感謝しているという感情は伝えることはできます。

フランス人の友人のお父さんは英語を話さないけれど、招待してくれて、言語の壁を超えた楽しいディナー!

最後に


予想外に長くなってしまいました。
ですが、私が【食】に対して興味がある理由は、これまでの私の経験が背景にあるからでしょう。これを読んでくださった皆さんにとって、食ではないとしても、同じように自分自身と向き合うきっかけとなりますように。

今日も、いただきます〜!

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