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岐阜でフィンランドの味を。

フィンランドでAnttiから学んだプッラを、岐阜のパン屋さんに出させていただきました。
1年半に亘った、フィンランドでの経験が、形になって初めて世に出すことができた第一歩な気がします。

AnntiによるPulla作りレッスン


今回の機会に対し、ただパンを売るのではなくて、実は、いろいろと意識していました。

一つ目は、フィンランドの味を届けたい!という、自分の思いです。留学中の2年間、紆余曲折はありましたが、ご飯の時間は、常に私に元気をくれて、多くの料理を学んできました。そんな、愛の溢れる”食“を通して、私が過ごした世界を届けたいと思っていました。全ての手作りの料理には、ストーリーがあり、愛が込められているように感じます。
だからこそ、おいしいから笑顔を引き出したいと思っています。

週末のディナーは愛のこもった料理が並びます。


二つ目には、農家の思いがあります。私は、ヨーロッパ各国の有機農家、5か国10か所で、半年間ボランティアをしていました。そして、農家として生きることの素晴らしさ、大変さ、楽しさなど、たくさんの感情を見出しました。どの農家も、個性があり、それぞれの思いと方針と実践方法があり、新しい農家に行く度に、そこでのやり方を毎回ゼロから学ぶ必要があります。とても多様性にあふれた農家でしたが、彼らの共通していたのは、「自然の力で、環境にも生命にも優しくて、おいしい作物を育てよう」という思いでした。気まぐれな自然を相手に毎日働き、人々にとって不可欠である食糧を生産してくださる農家さんの存在はとても立派なものです。技術の発達により、何もかもが便利で早くて楽な時代になっています。しかし、それらは、長期的な視点で見ても、その特性が持続するのでしょうか。それに疑問を抱く農家さんの元でボランティアを経て、岐阜でもあるいちご農家さんのもとでのアルバイトを再開しています。日本でのいちご作りは、オーガニックにすることがとても難しい。そんな中でも、いちごの本来の育ち方を模倣し、減農薬栽培に取り組んでいる農家の熱い思いを伝えたい。そんな思いで、今回いちごを使用しました。

不耕起の畝作り

三つ目は、できるだけ、持続的に。なぜ、オーガニックが大切なのか、改めて考える機会がたくさんありました。オーガニック食品は、健康セレブ向けの食べ物ではありません。誰もが選択できる、安全で環境への負荷の少ない食べ物であるはないのでしょうか。減農薬のいちごを使いたかったことも、その理由からです。日本における、オーガニックつまり有機農業の普及率の低さには驚きました。高温多湿な日本の気候で、無農薬なんて難しいだろうと以前は思っていました。しかし、難しくしているのは気候ではなく、日本の農業を取り巻く社会の仕組み、農業方針によるものではないのかと感じるようになりました。今回、協力してくださったパン屋、た・べ・るさんは、オーガニックファームです。縁あって、繋いでいただき、ヨーロッパにいるときから連絡を取らせていただいていました。こだわりの材料と自家製の天然酵母で、今回オリジナルのフィンランドのパンができたのです。

た・べ・るのお店

これらの思いを、パンを売りながら伝えたいと思いましたが、当日は準備やお客さんが来るとパンを売ることで精一杯でした。用意した写真や資料も、もう少し上手な方法で伝えることができたらよかったな~と後から思いました。そもそもお客さん達は、パンを買いに来ているのであって、わたしの話を聞きにきているわけではありません。おいしいパンを探していたのです。
伝え方ってとても重要。でも、その分いろいろと学べたことはあるので、それを次に繋げていきたいな。ということで、これからも、時間をかけながらも、頑張ります。つづく。


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