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④孫が働きながら勉強して看護師を目指したら祖父母の生活保護が打ち切りになった話

熊本地方裁判所の判断(抜粋)

文言は少し変えています。(「原告夫婦」⇒「祖父母」)

  • 孫の稼働能力の活用を求めることが直ちに孫の就学を妨げないとしても、世帯分離解除により祖父母が生活保護の受給を廃止されれば、祖父母(保護世帯)が遠からず経済的に困窮し、看護師の資格を取得して自立しようとしていた孫の看護専門学校での就学に支障が生じる可能性が高いことは処分行政庁が本件処分を行うに際し容易に予測できたものと考えられる。

  • 祖父母及び孫が生活保護の廃止後更なる経済的な困窮に陥ってから再度生活保護を申請して受給するのでは、それまでに看護専門学校での学業とE病院での就労を両立させていた孫の生活が破壊され、かえって孫の経済的な自立を阻害する結果になることも想像に難くない。

  • なお、祖父母と孫の間には生活保持義務ではなく生活扶助義務しか存在しないから、世帯分離解除により孫が自らの収入で原告夫婦の扶養を強制されるような事態を招くことは相当でないということもできる。

⇒それを看過して世帯分離解除を行った処分行政庁の判断について合理性は見い出し難い。


 熊本地裁はとても理解しやすい判決を出したと思います。この判決を受け止めたうえで、熊本県は何を求めて控訴したのだろうかと理解に苦しみます。
 その後、福岡高裁は熊本県の処分を適法とする判決を出しました。(判決文は裁判所ホームページにまだ掲載されていないようで、私は読んでいません。)

 これは、最高裁判所でとことん議論を深めるために必要な流れということなのでしょうか。それにしても孫と祖父母に大変な負担がかかりすぎていますが・・・。

 現在、オンライン署名活動が行われています。署名の宛先は最高裁判所です。