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多様性が認められる時代こそ、仕事内容の幅は狭い方がいい

私たちの住む日本では、ゼネラリストを育成する風潮がまだまだ根強く残っている印象を持ちます。

ゼネラリストとは、就職先の企業等に係る様々な業務内容を経験し、幅の広い知識を習得することで、あらゆる業務に対応することができる人材を指すと個人的には理解しております。

このゼネラリストを育成することを前提に

新卒者の一括採用
異なる部署への頻繁な異動
雑用を含めた一人当たりの対応業務の幅の広さ

といった風習が日本企業を中心に見られるほか、

ゼネラリスト的な組織を好む日本社会においても、

組織の縦割りがネガティブな問題として認識されるとともに、能力的には平凡ながらも凹凸が少なく、雑用を含めなんでもこなす人物への評価が高くなる傾向が見られる印象を持ちます。

このゼネラリストを育成するという仕組みは、社会の価値観が比較的一様であった一昔前であれば、それなりに機能したのだと思います。

しかしながら、
国際社会において「持続可能な開発目標(SDGs)」が提唱されるとともに、多様性が尊重されるようになった現代日本社会においては、一昔前のゼネラリストが担った「業務や雑用」とは比べものにならない幅、量、質のそれを、今の社会人はこなさなければならなくなっているように感じています。

二世帯が同居し、専業主婦が一般的で離婚も少なかった一昔前には

シングルマザー
ワンオペ育児

実際にはそういった事象はあったでしょうが、大きな社会問題として認識されてはこなかった。

環境問題がそれほど深刻でなかった一昔前には

気候変動対策としての

脱炭素
脱プラスチック

といった課題は認識されなかった。

そのほか、
価値観が一様であり意見の表出手段も限られた一昔前、クレーム対応は、あまり難しくなかったように思います。

しかし、多様性が尊重されることに伴い、私たち一人一人の価値観にますますズレが生じてきている今の日本社会では、クレーム対応についても解決がより難しくなってしまっているように感じます。

端的に言えば

多様性が尊重される現代社会においては

ゼネラリストの育成
ゼネラリストの指向

それ自体かなり無理がある、というか馴染まないものになっているように思います。

多様性が尊重される今、その社会を円滑に回すために、そしてなにより今を生きる私たちが一昔前の仕組みに疲弊しないように、その仕組みは改められ、仕事内容は「幅を狭く」するべきだと思うのです

これは、個人一人一人のレベルのほか、組織そのものに対しても言えるように感じています。

例えば、自衛隊です。

その存在の是非を論じるつもりはありません。

自衛隊の方々には、二つの役割を担っていただいていると考えています。

ひとつは文字通りの自衛、
もうひとつは災害対応です

ですが、この二つの役割をごちゃ混ぜにした組織のままでは、自衛には抵抗があるが、災害対応はやりたいという人材を取りこぼすように感じるのです。

多様性が尊重される時代に生きる私たちは、基本的には自分の「したい」ものが一昔前よりも明確であるように思います。

その考え方の変化に、日本社会も対応すべき時が来ているように感じます。

人手不足が全国的に深刻な問題となる今

日本のこれからを担う若い世代の皆様が、それぞれの「したい」を実現できるよう、

あれもこれもと幅広く対応しなければならない「ゼネラリスト」を求める風潮が日本社会からどんどん薄れていけばいいなぁと願うとともに

能力面で凹凸はあっても、ある分野では凄まじい能力を発揮する人材が活躍できるような、仕事内容の幅が狭くて済むスペシャリスト採用の枠がどんどん増えればいいなぁと思っています。

今回ギャラリーからお借りしたものはふうちゃんさんの作品です。お借りします。





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