26歳で人生リセットした話。#想像してなかった未来
ちょうど2年前、私はすべてを捨てて関東に出てきた。その時の話。
関西出身で、新卒で関西のメーカーに入社し、
中国地方の辺鄙な田舎の工場に配属された。
採用数が少ない女性文系職として、充分すぎるお給料をもらい、良い同期や先輩にも囲まれていた。
だけど、とにかく田舎だった。
それがめちゃくちゃつらかった。
外交的で刺激や新しい経験をすること、人と会うことが大好きな私にとって、田んぼに囲まれた何もない町で生きていることが、孤独でしんどかった。
休日は街に繰り出すも、帰路は気分が沈んだ。
とにかく土地が合わなかった。
だけど、3年は働かないと、と思っていた。
そんな中で彼氏ができた。
とても優しくて穏やかで面白くて一緒にいるといつも楽しかった。
平日は毎日電話しながら帰って、田舎道がなんとも思わなくなった。
休日もいろんなところにお出かけして、幸せだった。
彼が、ある日を境に突然転職活動を始めた。
1年半付き合ったころだった。
そのころ、彼は異動先でパワハラにあって、日々疲れていたのは知っていたが、その日何があったのかはわからなかった。
東京に転職が決まった。
全然違う業種で、全然違う場所で、
私との関係はどうするの、何度も聞いてしまった。
はっきり答えてくれないまま、遠距離が始まった。
東京に会いにいったとき、別れ話をされた。
好きかどうかわからないと。
頭が真っ白になった。
彼はかたくなだった。
別れる最後に、転職活動を決意した日、何があったのか聞いた。
なかなか答えてくれなかったけど、ついに口を割った。
”あの日、(私が)帰省していた日、
人生を終わらせようとした。
俺の人生は苦しいことしかない。
だけど終わらせられなかった。
だから死ぬように生きようと思って
人生をリセットすることにした。
今まで楽しかったよ。ありがとう。”
一人で、部屋で。何を言っているの。
言葉が出なかった。
彼はパワハラで苦しんで、人生に絶望していた。
そんなそぶりを見せずに、私が家にいない間に、
そんなことを考えて、実行していたのだ。
人に気を使って、使いすぎる人だったから、
学生の時からずっとうまく生きられなかったそう。
必死に勉強しても、必死にいい会社に入っても。
別れを受け入れるしかなかった。
もう、負担を増やせない、と。
半年くらい、毎日泣いていた。
彼を支えてあげられなかった自責、
彼ともう会えないこと、
彼が抱えていた悩み、
一人きりに戻ったただの田舎、
すべてを消化できるキャパはなく、
だんだん闇の底に落ちていくように、
毎日が灰色になった。
一生この田舎から出られないと思うと死にたくなり、転職活動を始めた。
とにかく”都会”で探した。
転職活動をしている間だけ、憂鬱な気持ちから逃れられた。
そして東京の大学職員に受かった。
信頼できる会社の先輩に言ったら、東京支店で働く人を探している部署があるからつなげるよ、と、
転職が怖い私からしたら願ってもない話になった。社内異動のほうがリスクが少ないと思って、内定を断った。
しかし。
自分の部署の上司が外に出してくれなかったのだ。
梯子を外され、私は田舎を出るチャンスを失った。
トンネルの出口の光が消えるように、希望を失った。
悪いことは立て続けに起きるものだ。
来る日も来る日も自分を責め、後悔し、泣いて、後悔した。
これまでの人生すべて失敗だと思った。
そして気づいたら自分の首に手をかけていた。
はっと我に返って、泣いた。死にたかった。
だけど、死ぬ勇気もないから、転職活動をするしかなかった。
死んだ顔で毎日出社して気力を振り絞っていた。
そして、東京のメーカーから内定をもらった。
長かった。彼と別れてから半年くらいたっていた。
田舎の工場勤務生活も4年半がたっていた。
えいや、で転職して、すべてをおいて、出てきた。
仕事も住む場所も、人間関係も、思い出も。
人生を変えたくて、全部リセットした。
今、会社の人と友達に恵まれ、関東で楽しく生活している。とにかくすべてが居心地がいい。
娯楽も人も物も景色も。
心から満たされる感覚を知った。
ここは私にあっている。
結婚を考えている彼氏もいる。
元カレ以上の人に出会えないと思っていたけど、
ふっと現れてくれた。
元カレも、前職も、その時の自分も、決して消えないしんどくなる思い出だけど、
今ここにいることは想像していなかった未来で、
想像以上に素敵だったし、
過去がなければ今はないから、
全部乗り越えて、勇気を出して上京してきた自分を誇りに思っている。
きっとこれからも辛いことはあるだろうけど、
希望を絶やさずに、めげないで生きていきたい。