【#04】真夏の蛙化現象。
今年の夏の思い出にピッタリなリレー小説です。さぁ、みなさん笑いながら楽しく読んでください!
第1章〜第4章までをザッとご紹介。
ー第5章|お互いの想い
チエコがノリユキに言った。
「ねぇ、あれってマユだよね?その隣にいるのって、もしかして……」
マユは、真っ赤なカワイイ浴衣姿。
そしてパッと見ヤスっぽい男は、白のTシャツにジーパンというド定番の姿だ。
ノリユキが元気よく走って2人に近付こうとしたが、ちょっと待てよ、んー。
このまま様子を見よう。
こんな偶然あるか?
マユと遭遇して、
その隣に担任のヤスがいる……。
チエコは目をまん丸に。
そしてノリユキはニヤニヤと笑みをこぼしている。
「なぁチエコ今、ヤスとマユ手を繋いでたよなー?」
「えっ?そうかな?」
「俺にはしっかり見えたぞ!」
「くぅーイイ思いしやがって!」
「じゃあ俺たちも手を繋ごうか?なぁチエコ!」
と言ってノリユキはチエコの手をそっと握った。
チエコの顔がポッと赤くなる。複雑な気持ちだった。
私にはバームがいるけど、彼は今どこで何をしているのか分からないし、マユはノリユキのことが気になってたはずだけど、今ここにヤスと一緒にいる。
そして私は……。
すると、
ドーンッ!
バチバチバチ。
大きな花火が上がった。
チエコは頭がパニックになっていた。
マユとヤスが一緒にいて、今、私はノリユキと手を繋いでいる。夏の思い出になるには重すぎる。でも……。
チエコはノリユキの手をギュッと握り返した。
そして、
お互いの指が交互になるように手を繋ぎなおして空を見上げた。
ヒューーーン。
ドンッ!
再び大きなエメラルドグリーン色の花火が上がった。
マユの小さな手が、ヤスの大きな手と重なっているように見える……。
花火は次々に大きく綺麗に上がる。
するとヤスのジーンズの後ろポケットに入っているスマホがブーン、ブーンと鳴った。
チエコがノリユキにこう言った……。
「ねぇノリユキ、今好きな人っているの?」
自分でも分からないぐらい直球の質問だった。
「俺は、チエコのこと好きだよ」
そのあと数秒間、無言の空気が流れた。
ピロロローン♪ピロロローン♪
チエコのスマホが鳴っている。
「もしもし、バーム? どうしたの?」
「いやーなんかずっと忙しくて、チエコのことも気になってたんだけど」
「あっそーだったんだ! ちょっと今忙しくてゴメンね」
ヒューーーーン、ドンッ!!
「チエコ今、花火の音が……」
「バーム、私探偵ごっこやってるから、1度切るね。またちゃんと説明するから」
ノリユキが「探偵ごっこて、さすがにムリあるやろコレ」
プルルルルルル♪プルルルルルル♪
ん!?今度は誰のスマホだろう。
ノリユキのスマホが大音量で鳴っている。
ノリユキ「なんやタイミング悪い電話やなーやかましいわー」
と叫びながら、スマホをぶん投げた。
チエコが、ちょっとノリユキ!
なんでスマホ投げるのよ!
すると、「テッテレー、もう1つスマホ持ってるから大丈夫やねん」
あ、怪しい……。
てゆーか、スマホ2台持ちの男って100%浮気するし。
そんな人、ムリ。
はぁー、ノリユキってこんなヤツだったなんて。
マユがヤスに問いかける。
「ねぇ、ヤス、私たちって何なのかな?」
「ひと夏の恋ってやつなのかな?花火のように綺麗に散っていく……そんなのはイヤだなぁー。」
ヤスが優しくこう言った……。
「なんでもええで!マユのお願いやったら、ホンマになんでも聞くわ!」
マユのお願いとは……。
〈来週へつづく〉
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