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【映画#79】「山の音」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

1学期の終わりが見えてきました。
ということは部活動の最後の大会も近づいています。
できることはしっかりとやり切って、どんな結果であろうと3年生が納得して終われるようにしていきたいと思っている今日この頃です。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「山の音」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの6作目です。

基本情報

監督:成瀬巳喜男
出演者:尾形信吾(山村聰)
    尾形菊子(原節子)
    尾形修一(上原謙)
    相原房子(中北千枝子)
上映時間:1時間34分
公開:1954年

あらすじ

舞台は鎌倉。
義父と息子の嫁、菊子が仲睦まじく歩いています。
原節子演じる菊子は夫の修一と上手くいっていません。
修一には不倫をしている女性がいました。
家にいる義父母もそのことを知っており、特に義父はそのことをよく思わず(当然ですが)、菊子にその分優しく接しています。
菊子もそんな義父の心遣いが嬉しくて、修一よりも義父を優先するようなところがありました。

また菊子と修一には子どもがいませんでした。
けれども、嫁ぎ先から出戻ってきた修一の妹、房子には二人の子どもがいます。
子どもがいるから幸福に暮らしているかというとそういうわけでもなさそうですが、菊子はそのことを気にしている感じがします。
その子どものことをめぐってたてつづけに不幸が起こります。
そして菊子はある決断をします。

設定

・不倫
・禁断の恋
・生きづらさ

感想

複雑な感情を表す映画だなと思いました。
義父が菊子に思いを寄せているように見て取れますが、決定的な行動には至らないので、ある程度観客に解釈は任されているように思いました。
でも、義父と菊子以外は本当に嫌な奴として造形されています。
義母は口だけがよく動き、菊子に色々と任せて、家のことはあまりしません。
修一は菊子に対する優しさが全くありません。(もちろん修一には修一なりの言い分はあるでしょうが・・・)
房子も不平不満をぶつくさぶつくさ言っています。
ただ、誰かが悪いというよりも結婚という制度や子どもを産むべきという考え方にとらわれているからこそ不幸せが起こっているように思いました。
原作となった川端康成の小説も読んでみたいです。

夕立や義父とまわりの嫌な奴

その他

・モノクロ映画

『空の冒険』内の「山の音」登場シーン

短篇のタイトルの一つとして出てきます。
 
吉田修一が書いた「山の音」は和田隆志という語り手がシーズン外れの週末に民宿に泊まりにきている話です。
32歳の隆志は3年ほど前からこのような週末の過ごし方(シーズン外れに民宿に泊まる)をしています。
民宿のオーナーに教えてもらったハイキングコースを歩きつつ、彼女である美沙とのこれからを考えます。
映画と似ているなと思ったのは登場人物の造形で、隆志と修一が似ているなと思いました。
どちらも無口でどのようなことを考えているのかがつかみづらいことや彼女や妻が自分の親と同居するかもしれなかったり、していたりするところが少し似ているように思いました。
実は映画のタイトル「山の音」が何を表すのか自分はほとんど解釈できなかったのですが、短編の方は少しわかった気がしました。
ハイキングコースを歩き終え、山の頂上に着いたときに隆志が「この景色の言いたいことは何だろうか?」と考える場面があります。
ここがまさに「山の音」なのかなと思いました。
 

吉田修一作品とのつながり

・修一の不倫相手の絹子は女性と同棲していて、バイセクシャルの可能性もあり、仮にそうであれば、同性愛を扱うという点でつながりがあるのかなと思いました。

以上で、「山の音」については終わります。
原作と比較して読むのが楽しみです。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:Amazon「山の音」

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