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【作品#17】『女たちは二度遊ぶ』

こんにちは、三太です。

2022年も年末となりました。
今年も色々ありましたが、何よりこのnoteを始めたことが自分にとっては大きかったと思います。
noteをされている方には届いていると思うのですが、私にもnoteから2022年の記録が来ました。
78本もの投稿ができていたようです。
ただ、よく読まれた記事が「閑話休題」の内容だったので、本筋の記事でも頑張りたいと思っている今日この頃です。
(でも、生徒がよく覚えているのは教師が授業中にする雑談という話もあるので、これはこれでいいのかな・・・)

では、今回は『女たちは二度遊ぶ』を読んでいきます。

初出年は2006年(3月)です。

角川文庫の『女たちは二度遊ぶ』で読みました。

あらすじ

この作品には、「○○の女」(最後だけ「最初の妻」)というタイトルの短編が11編収められています。
例えば、「どしゃぶりの女」や「殺したい女」のようなものです。
それぞれは独立しています。
基本的にはある女性が出てきて、その女性と「ぼく」とのエピソードが語られる話です。

吉田修一公式サイトの紹介文も載せておきます。

ナンパして連れ込んだ後、そのまま居座られ、しかも掃除も料理も何もしない『どしゃぶりの女』。居酒屋で酩酊状態にある電車の中で見かけたうっとりするような美女のあとをつける『夢の女』。その他に『自己破産の女』や『平日公休の女』などとタイトルが付いた、まるで「出会わなかったような出会い」をした女たちを、回想する連作短編集。恋愛小説では決して取り上げられることのない、記憶の片隅に取り残されたような女たちとの、儚い時間を小説へと昇華させている。

出てくる映画(ページ数)

①「殺したい女」
②「フォエバー・フレンズ」
③「ステラ」(p.27)

昔、『殺したい女』というコメディ映画があった。まだ『フォエバー・フレンズ』にも『ステラ』にも出演していないベット・ミドラーが主演で、ダニー・デヴィートがその夫役を演じていた。

ちなみに、この一節は「殺したい女」という話の冒頭です。
映画のタイトルがそのまま作品の名前となっていることがわかります。

④「カップルズ」
⑤「牯嶺街少年殺人事件」(p.122)

田町駅の喫茶店を出た彼は、山手線、中央線と乗り換えて荻窪駅で下車し、駅前にあるレンタルビデオ店で『カップルズ』と『牯嶺街少年殺人事件』という共にエドワード・ヤン監督の映画を借りており、この貸し出し時刻が六時七分、田町駅から荻窪駅までの距離を考えると、ほとんど迷わずにこの日本を借りていることが分かる。

こちらは、「十一人目の女」という話に出てきます。

今回はこの5作と、『女たちは二度遊ぶ』自体が映画化されているみたいなので、そちらも見たいと思います。

感想

短編それぞれは独立しているのですが、ある共通点があるように感じました。
それは語り手が未来から過去(思い出と言ってもよい)を語っているということです。
「今、これを語っている自分は未来にいますよ」という感じが文章からひしひしと伝わってきます。
とても意図的な感じがします。
私はそれがタイトルの「女たちは二度遊ぶ」につながるのではないかと思います。
一度目は実際に、二度目はこの文章で。

内容面の細かいところでいうと、「公衆電話の女」の話で、公衆電話に列ができるというエピソードがあるのですが、今ではほとんど見ない光景なので、時代を感じさせられました。
私はおそらく数えるほどしか公衆電話を使ったことはないですが、珍しいテレフォンカードを集めていた記憶はあります。
男と女の関係としては、「ゴシップ雑誌を読む女」の「ぼく」と「泉ちゃん」の関係が良い関係やな~と思いました。
その他には、ちょっと嫌やな~という関係のものもあるのですが、こんなにも様々な男女関係を描けるのはすごいとしか言いようがないです。

女とのあれこれを聞く冬の夜

次回は映画紹介を行います。

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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