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【映画#46】「牯嶺街少年殺人事件」『女たちは二度遊ぶ』より

こんにちは、三太です。

1月も6日となりそろそろ冬休みの終わりが近づいてきました。
冬休みはなんだかんだと忙しかったですが、それなりにリフレッシュできました。
3学期に向けてしっかりと準備していきたいと思っている今日この頃です。

では、今日は『女たちは二度遊ぶ』に出てきた映画、「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」を見ていきます。
『女たちは二度遊ぶ』に出てくる映画5作中の5作目です。
3作目の「ステラ」、4作目の「カップルズ」はまだ見られていないです。

基本情報

監督:エドワード・ヤン
出演者:小四(チャン・チェン)
    小明(リサ・ヤン)
    小猫王(ワン・チーザン)
    飛機(クー・ユールン)
上映時間:3時間56分
公開:1991年


                                      映画の中のいくつかのシーン。

あらすじ

1960年、9月の台湾が舞台。
小四(張震)という少年は親が入れたかった学校の試験に落ち、ある夜間部の学校に入学しています。
そこで不良少年たちの縄張り争いや色恋沙汰に巻き込まれたりしながら日々を過ごします。
その争いは主に二つのグループ、一方はハニー、もう一方は山東という人物がボスです。
小四はじめ中学生の少年たちもその一味にそれぞれつるむような形になります。
争いは過激さを増し、死者も出るほどです。
そんな争いが一度鎮静化する中、小四は小明という同級生の女の子との恋愛に悩みます。
同時期に、小四の家族は父が厳しい尋問にあうなどして、とても不安定な状態に陥ります。
そこで事件は起こってしまうのです。

設定

・殺人事件
・少年たちの非行
・恋愛の悩み

感想

1960年の台湾が舞台ということで、ただの少年の抗争ではなく、政治的なにおいもします。(そして映画で描かれる事件は実際にあった事件を題材にしているようです)
けれども、自分にはまだ表層的なことしか見えていません。
4時間もある大作なのに、あらすじにまとめてしまうととても簡単になってしまいました。
ただ、そこには描けなかった政治的なこと、時代背景、人の呼び方に隠された意味などが重要な意味を持ち、解釈を待っているとも思います。(例えば、ハニーは常に中華民国海軍の格好をしていますが、これはどんなことを表すのでしょうか)
表層的にはこの映画が描くのは、少年たち同士の主導権争い(縄張り争い)、女性の取り合いです。
ただ、それを通して、個人の罪が社会を通して形作られる過程を描いていると思います。
言い換えるなら、この映画には受験の失敗や恋愛の悩み、家族の不安定さなどちょっとしたずれが決定的な破局へと導いていく過程が描写されているのです。
どうやっても時代に翻弄されてしまう人間のせつなさみたいなものを感じてしまいました。(一方でそれでも生きていく人間の力強さも)

少年に国と女の鎌鼬

その他

ウィキペディアより
→2015年には釜山国際映画祭のアジア映画ベスト100の第7位に選出

『女たちは二度遊ぶ』内の「牯嶺街少年殺人事件」登場シーン

田町駅の喫茶店を出た彼は、山手線、中央線と乗り換えて荻窪駅で下車し、駅前にあるレンタルビデオ店で『カップルズ』と『牯嶺街少年殺人事件』という共にエドワード・ヤン監督の映画を借りており、この貸し出し時刻が六時七分、田町駅から荻窪駅までの距離を考えると、ほとんど迷わずにこの二本を借りていることが分かる。

『女たちは二度遊ぶ』(p.122)

これは『女たちは二度遊ぶ』の中にある11の章のうちの7つ目、「十一人目の女」に出てくる一節です。
この引用ではどちらかというと映画というよりもエドワード・ヤン監督が重要そうです。
ただ、この引用に出てくる「彼」は裕美子という付き合っていた女性を絞殺しており、その構図は少し「牯嶺街少年殺人事件」とも共通します。
「カップルズ」はまだ見られていないのですが、もしかしてこの二つの映画が「十一人目の女」のストーリーの源泉になっているかもしれません。

吉田修一作品とのつながり

・好きなのに、その人を殺してしまうのは、『悪人』と同じだと感じました。

以上で、「牯嶺街少年殺人事件」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:「牯嶺街少年殺人事件 公式サイト」

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