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【映画#30】「アラビアのロレンス」 『パレード』より

こんにちは、三太です。
ついに、映画紹介が30作品目に入りました。
30作品と改めて認識すると、自分としてはけっこう映画を見てきたなぁと感慨深いです。(もちろん見ている人はもっと多くの映画を見ておられると思いますが・・・)
年内には40は紹介できるかなとは思っていますが、どうなるでしょうか。

では、今日は『パレード』に出てきた映画、「アラビアのロレンス」を見ていきます。
『パレード』内に出てくる映画26作中の25作目です。

ちなみに、24作品目が「ひまわり」で既出でした。

「ひまわり」については、引用も、「アラビアのロレンス」とほぼ同じ所に出てきますので、合わせて紹介したいと思います。

基本情報

監督:ディビッド・リーン
出演者:ロレンス(ピーター・オトゥール)
    アリ(オマル・シャリーフ)
    ファイサル(アレック・ギネス)
上映時間:3時間47分
公開:1962年

左からアリ、ロレンス、アウダ・アブ・タイ

あらすじ

ロレンスという人物がバイク事故で亡くなるシーンから始まります。
話のメインはここに至るまでの回想にあたります。

ロレンスは中尉としてイギリス軍の中で働いていました。
おそらく時は第一次世界大戦、場所は中東です。
ロレンスは文学が好きであったり、少し弱々しい感じもあったりして、軍の中で浮いていました。
そのロレンスがアラブの世界に派遣されることによって、大きく変貌していきます。
当時、トルコ対アラブ(イギリス軍の支援あり)という構図がありました。
ロレンスはアラブの中に入って、トルコとの戦いを行っていきます。
最初はロレンスを信用していなかったアラブの人達も、砂漠での移動や、ロレンスの仲間を思う気持ちなどを目の当たりにして、次第に信頼を深めていきます。
戦争を行う上で要衝となる街をロレンスはアラブの軍を率いて見事に占領していきます。
けれども、長引く戦争の中で、心身共にじわじわとロレンスは追い詰められていきます。

設定

戦争が舞台

感想

戦争というテーマはよく触れるものですが、中東という場所はなじみが薄く、とても新鮮に見ることができました。
ただ、描かれているものはとても普遍的なことだったと思います。
それは戦争によって一人の人間の心身が(特に精神が)崩壊していく様です。(映画「カンゾー先生」でもその様が描かれていました)
そのことがディティールを持って描かれていました。
そして、はじめは回想前のバイク事故の描写に?が浮かんでいましたが、最後まで見てその引き金がなんとなくわかりました。

アラブのことは自分自身よく知らない点も多いです。
見ていてとても伝わってきたのは部族間の争い(部族ごとのつながりが強い)があるということです。
また、いわゆる西側の論理をアラブに当てはめることの難しさも描かれているように思いました。
そういった点も含めて、もっと背景知識を学びたいと思いました。(なぜ第一次世界大戦の時期かと推測したかというと、途中に出てくるサイクス・ピコ協定を調べたときに知ったからです)
あとこの映画は一言で、豪快でした。
アクションというか馬の使い方が特にそう言えます。
何十頭という馬が使われていたり、銃に撃たれるシーンでこけるところを撮っていたり、なんとなく見過ごしそうですが、大変な労力がかかっていると思いました。
昔の勢いのある頃の映画という感じでしょうか。

日盛りや中東を馬ぐわんぐわん

その他

ウィキペディアより
→実在のイギリス陸軍将校のトマス・エドワード・ロレンスが率いた、オスマン帝国からのアラブ独立闘争(アラブ反乱)を描いた歴史映画であり、戦争映画である。
スピルバーグは高校生の頃に『アラビアのロレンス』を見たことで映画監督を目指すことを決心したと語っており、ディビッド・リーンを偉大なる師として尊敬していた。
→また、このような本もあるようです。
 これは読んでみたいですね。

『パレード』内の「アラビアのロレンス」登場シーン

小学生の分際で、「ひまわり」というイタリア映画でソフィア・ローレンが列車に飛び乗る別離シーンに涙したり、「アラビアのロレンス」に将来の自分の姿を重ね合わせ、胸苦しさを感じたりしていた。ただ、映画館で「2001年宇宙の旅」を観た時の胸苦しさは、それまでとは比べものにならなかった。

『パレード』(p.247)

前回に引き続き、これも伊原直輝が美咲との食事の後、一人で立ち寄ったビデオ屋でのワンシーンです。
「アラビアのロレンス」は「ひまわり」とともに、直輝がどれだけ「2001年宇宙の旅」から影響を受けたのかを表現するために使われています。
ここから分かるのは、直輝がかなり早熟な少年だったということです。
「ひまわり」の別離シーンに涙するというのはぎりぎりわかるのですが、(自分はきっとできませんが)「アラビアのロレンス」でロレンスに自分を重ねるのはほぼないなと感じました。
きっと自分なら、そういう世界もあるのねぐらいで終わっている気がします。
(そもそも、小学生にしては映画のチョイスが渋すぎます。)
自分と比べるだけではあまりよくないのかもしれませんが、少なくとも自分はそう感じますし、おそらく多くの人も首肯してくれるのではないかと思います。
ただ、直輝の早熟さは映画を見たからこそ、よりわかったことなので、それは良かったです。

吉田修一作品とのつながり

一人の男の変容というテーマはつながりそうです。

以上で、「アラビアのロレンス」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「アラビアのロレンス」

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