見出し画像

【映画#40(33・34の間)】「永遠と一日」『パーク・ライフ』より

こんにちは、三太です。
最近、読みたい本が多く積読本がたまってきました。
今この文章を打ち込んでいるパソコンの横にも積んでいるのですが、気づけばパソコンより高くなっています・・・。
積読本を一つ一つ楽しんで読んでいきたいと思っている今日この頃です。(買わなきゃいいんですが、どうしても買ってしまうんですよね・・・自分としては抑えているつもりなんですが・・・積読する人ってそうですよね・・・)

では、今日は『パーク・ライフ』に出てきた映画、「永遠と一日」を見ていきます。
『パーク・ライフ』内に出てくる映画2作のうちの2作目です。
本来紹介するタイミングでは見られていなかったのですが、どうにか借りることができたので、このタイミングになりました。

基本情報

監督:テオ・アンゲロプロス
出演者:アレクサンドロス(ブルーノ・ガンツ)
    妻アンナ(イザベル・ルノー)
    少年(アキレアス・スケヴィス)
上映時間:2時間13分
公開:1998年

あらすじ

死期の近い男性、アレクサンドロスが主人公。
そのアレクサンドロスの一日を描きます。
アレクサンドロスは様々な言葉をもとに過去を回想します。
アレクサンドロスの心残りはアンナという(おそらく妻である)女性でした。
アンナとの思い出のある海辺の屋敷は娘夫婦が売ろうとしています。
娘夫婦には自分の愛犬も預けることができませんでした。
なかなか最後の整理がつかないアレクサンドロスの前に、難民の少年が現れます。
はじめはこの少年を故郷に帰らそうとするのですが、少年は帰りたくなく、最後にはアレクサンドロスも寂しくなってしまい、少年と一緒に時を過ごすことを選びます。
しかし、もう長い時間は残されていません。
アレクサンドロスは少年からもらった言葉をもとに、自分の人生がどのようなものであったかを意味づけていきます。

設定

・主人公は詩人で、死期が近い
・回想がたくさんはさまれる
・難民が出てくる

感想

全体を通して、静かな映画だったなという印象があります。
映画の中で過ごす時間はほぼ一日なのですが、その中で時を行ったり来たりします。
それがタイトルともつながります。
言葉を軸に回想に入っていくスタイルが、はじめはどういうこと?となるのですが、徐々になれていきました。
アレクサンドロスは頻繁に「旅立つ」という言葉を使い、はじめはよくわからなく、途中「病院に行くことか?」と思ったのですが、おそらく多義的に使われており、でも最終的には死ぬことを婉曲的に言っているのかなと思いました。
アレクサンドロスとともに重要人物である少年は難民です。
あまり現実に難民と接する機会が少ないので、イメージしづらい感じもありましたが、逆にこの映画でその雰囲気が少し理解できたように思います。
タイトルの話はさきほどもしましたが、「明日の時の長さは?」というアレクサンドロスの問いに、アンナが「永遠と一日」と答える場面も最後の方にあります。
永遠でもあり、一日でもあり、この矛盾する感じを「でも確かにそうかもしれない」と思わせる映画です。
そして、最後に出てきた「言葉で君を連れ戻す」という言葉が印象的で、言葉への強い信頼を感じられる映画でもあります。

旅立ちは一人言葉と冬に入る

その他

・ギリシャ映画
・映画字幕の翻訳は池澤夏樹さん
・ウィキペディアより
→カンヌ国際映画祭でパルム・ドール受賞。

『パーク・ライフ』内の「永遠と一日」登場シーン

九分間の会話で、ひかるは最近ビデオで観たらしい『永遠と一日』というギリシャ映画の話をした。

『パーク・ライフ』(p.74)

このシーンは、「ぼく」が高校時代に好きだった初恋の相手、ひかるという登場人物と電話で話すシーンです。
作中では、ここまでに別の高校の同級生、近藤から「ぼく」がひかるは結婚をしたという話を聞いていました。
しかし、この短い会話の中では、とうとうひかるからは結婚の話を聞けなかったのです。
そこで出たのが「永遠と一日」。
死を前にして妻アンナをずっと思っていた点で純愛、けれども二人はもう会うことはないという点で悲し気な本作が取り上げられているということは、その後の「ぼく」とひかるの行方を暗示するかのようです。
実際にこのあと作中にはひかるは出てきません。
二人の今後を想像させるという点で、効果的に映画が使われているのかと思いました。

吉田修一作品とのつながり

流れるように回想に入っていく様は、吉田修一作品を読んでいるようだと感じました。

以上で、「永遠と一日」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「永遠と一日」

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,269件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?