【作品#21】『静かな爆弾』
こんにちは、三太です。
教員をしている私にとっては、今は入学試験の時期です。
自分も過去問を解いたり、入試問題の研究をしたりします。
国語の場合は問題となった文章があり、問題となるからにはやはりそれなりに良い文章が使われています。
そんな文章から読書の幅も広がっていきそうだなと思っている今日この頃です。
では、今回は『静かな爆弾』を読んでいきます。
初出年は2008年(2月)です。
中公文庫の『静かな爆弾』で読みました。
あらすじ
明治神宮外苑にある公園で出会った男女。
中東の仏像爆破を題材にドキュメンタリー番組を作る早川俊平。
耳の不自由な響子。
二人は距離を縮め、付き合い始めます。
ただ、俊平は仕事に追われ、俊平の家族も響子との付き合いを手放しで歓迎する様子でもありません。
中東の仏像が爆破されたように、二人の関係にも「静かな爆弾」が迫るのですが・・・。
公式HPの紹介文も載せておきます。
出てくる映画(ページ数)
①「子猫をお願い」(p.65)
今回は以上の1作です。
感想
この作品のテーマの一つに「仕事をとるのか、愛する人をとるのか」というのがあると思いました。
今から15年ほど前の作品だからか俊平は軽々と仕事をとります。
そして、それは俊平だけの価値観ではなく、彼の同僚の麻生(女性)も同じでした。
今だとまた違う選択、あるいはもう少し逡巡があるのかなとか思って読んでいました。
ただ逆に、もしかしてそれではうまくいかないよということを結末で示すのかなとも思っていたら(そうなると当時の作品としては先進性があるということになるかなと思います)そういうわけでもない結末で、この作品のメッセージ性についてしばし考えて込んでしまいました。
この展開から一つ言えるのは、俊平の前から姿を消した響子が1週間何をしていたのかという問いです。
語り手は俊平であり、この作品ではあまり響子の心情は描かれません。
その部分に想像を巡らせるのも一つの楽しみ方かなと思いました。
そして、爆弾は爆破するとは限らないのだとも。
都合良い男ばかりよ水温む
次回は映画紹介をします。
では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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