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【映画#35】「モンスーン・ウェディング」『東京湾景』より

こんにちは、三太です。
最近、工藤勇一・苫野一徳『子どもたちに民主主義を教えよう』を読みました。

お二人ともこれまでに何冊も著作を読んできていて知っていたのですが、これは最強タッグだなと思いながら読みました。
その期待を上回る本でした。
シンプルに「まだまだやれることはたくさんある、仕事頑張ろう!」と思え、やる気がみなぎっている今日この頃です。

では、今日は『東京湾景』に出てきた映画、「モンスーン・ウェディング」を見ていきます。
『東京湾景』内に出てくる映画は3作ありますが、その1作目です。

基本情報

監督:ミラ・ナイール
音楽:マイケル・ダンナ
出演者:ラリット(ナシルディン・シャー)
    アディティ(ヴァスンダラ・ダス)
    デュベイ(ヴィジャイ・ラーズ)
    アリス(ティロタマ・ショーム)
    リア(シェファリ・シェティ)
上映時間:1時間53分
公開:2001年

あらすじ

あるインドの家族が、結婚式を挙げようとしているところから物語は始まります。
一見幸せそうな家族なのですが、そこには様々な問題と人間模様が見られます。
例えば、花嫁のアディティは婚約中にもかかわらず、元彼のアナウンサーと密会を重ねています。
そもそもこの結婚は親が決めた結婚でもあるのです。
その他にも花嫁の父であるラリットは考え方が前時代的で、かなり強引で強がりですが、実はお金に困っていたり、ウェディングプランナーのデュベイは、ラリットの家の使用人であるアリスに恋をしたり。
これらだけにとどまらず、たくさんの問題、あるいは人と人のつながりが描かれます。
その中で、一番大きい問題がテージおじさんでした。
ラリットはテージに金銭面など助けられているところもあり、なかなか家長として決断を下せません。
このあと結婚式に向けてどうなっていくのでしょうか。

設定

結婚式
恋愛、不倫、性的虐待、小児性愛
家族と個人の対立

感想

アディティとヘマントの結婚式を行っていく過程を中心に、色んなストーリーが常に動いていて、飽きさせない映画でした。
そして、映画の色彩や音楽がとても美しいです。
色んなストーリーが動いていると書きましたが、それは主に、性に関わる問題です。
シンプルに恋愛であったり、はたまた不倫であったり、幼児への性的な虐待であったり、その内容は多岐に渡ります。
ある家族の結婚式を題材にここまで様々な問題を描けることに感嘆しました。
最後の収束の仕方は、自分が当初予想していたよりも、やさしい終わり方でした。
もっと現実を突きつける感じの終わり方もあると思いますが、楽しく歌って踊るインド映画らしい(?)結末だと感じます。
家族が多いので、少し人物の関係を把握するのが難しい感は否めませんが、(DVDにはちゃんと家族関係の解説がつけられています)インドの勢いを感じられる楽しい映画です。

お似合いの二人を祝う秋の園

その他

・インド映画
・マリーゴールドの花がきれい
・2001年ベネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)受賞作。
・ウィキペディアより
→インドのパンジャーブ地方出身者の伝統的な結婚式を舞台にしている。

『東京湾景』内の「モンスーン・ウェディング」登場シーン

二度目のデートで、あまり興味もなかった『モンスーン・ウェディング』というインド映画を観た帰り道、亮介は思い切ってこの気持ちを告げた。

『東京湾景』(p.45)

このシーンは、亮介が付き合って2ヶ月の真理に自分の気持ちを告げるシーンです。
どんな気持ちかというと、二人でいるよりも亮介の同僚の大杉、その彼女のゆうこも含めた四人でいた方が楽に感じられるという気持ちです。
亮介は真理と付き合っているのですが、いまひとつ真理を愛せないという状況にいます。

その気持ちを聞いた真理も同じように感じていたような対応をします。
その会話の中で「・・・ふたりで、甘ったるいインド映画を観る代わりに、ゆうこたちの痴話喧嘩を鑑賞するってことでしょ?」(p.45)と真理が言うくだりがあります。
つまり、『モンスーン・ウェディング』は甘ったるいインド映画として取り上げられているのです。
私自身は、確かに甘ったるいところもありますが、どちらかというと厳しい、あるいはつらい現実を突きつけているところの方が、この映画は強いように思います。
逆に言うと、それ以上に真理は厳しく、つらい現実を知っていることを表すのかもしれません。

吉田修一作品とのつながり

・不倫とかはたくさんありそうな気がします。が、逆にありすぎてあまりそこに意味を見出すのは難しいかもしれません。
また、じっくり吉田修一作品と照らし合わせていきたいです。

以上で、「モンスーン・ウェディング」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「モンスーン・ウェディング」

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