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【映画#26】「うなぎ」『パレード』より

こんにちは、三太です。
最近、本格的に体重を落とそうと頑張っています。
脂肪を燃やすためには、ビタミンなどの栄養素が必要で、それらを補うためにサプリを飲んでいます。
慣れないうちは、「薬漬けだな」という感じも少ししたのですが、ぼちぼち慣れてきました。

では、今日は『パレード』に出てきた映画、「うなぎ」を見ていきます。
『パレード』内に出てくる映画26作中の20作目です。

基本情報

監督: 今村昌平
出演者:山下(役所広司)
    服部(清水美砂)
    高崎(柄本明)
    服部の母(市原悦子)
上映時間:1時間56分
公開:1997年

あらすじ

1988年の夏から話は始まります。
主人公である山下という男が、ある手紙をもとに、妻の浮気現場を目撃します。
山下はそこで包丁を持ちだし、浮気相手の男を刺し、妻もめった刺しにします。
男は命からがら逃げ、妻は死にます。
山下は警察に出頭し、服役します。

次の場面は8年後。
山下が仮出所をするところから始まります。
むしろ話のメインはここからです。

山下は保護司のお坊さんの力も借り、理髪店を営み始めます。
無愛想な山下でしたが、徐々に常連さんが出てきます。
そんな中、理髪店の近くで、自殺未遂が起きます。
自殺未遂を起こしたのは、服部という女性。
山下がその現場を通報し、その縁もあって、服部は山下に惹かれます。
けれども、山下は自分の過去を知られるのを恐れ、なかなか親密な付き合いを服部と持とうとしません。
ただ、なんだかんだ言って、理髪店の切り盛りを服部に手伝ってもらいます。

そんな中、山下の過去を知る、高崎という男が現れます。
山下は高崎を警戒しますが、高崎はきれいな女(服部)と過ごしている山下を許せません。
山下の過去は明かされるのか、その時、服部はどういう行動を取るのか・・・。

設定

主人公が殺人を犯している
仮出所中

感想

面白かったです。
刑務所から仮出所するという設定は、以前読んだ辻原登の『冬の旅』に通ずるなと思いました。(記憶違いであれば、すみません・・・)
山下は妻を殺しはしましたが、根っからの悪人というわけではなく、むしろピュアすぎるからこそ、そんな行動を取ってしまったという感じです。
ですので、仮出所後には、色々と彼のもとに人が集まってきます。
また、山下は釣りが好きなので、(妻が不倫をしていた時間も、山下が夜釣りに行っている時間でした)釣りの場面も何度も出てきますし、それを通じて人との交流も行われます。
そして、なんといっても注目はタイトルとなっている「うなぎ」でしょう。
うなぎの第一の登場場面は、山下が仮出所をするときです。
刑務所の中で捕まえたうなぎをそのまま持って行きます。(刑務所でうなぎを捕まえるということはそもそもあるんかという疑問はありますが…)
山下にとってうなぎは自分の話を聞いてくれる仲間でした。
次にうなぎが出てくるのはこの話のクライマックスです。
山下は大きな決断を下します。
そこには、うなぎの生態も重要な役割を果たしています。
終わり方はなんとも言えない終わり方ですが、幸福な未来を築いてほしいなという風に私は思いました。

俺のこと受け入れてくれる鰻だけ

その他

吉村昭の「闇にひらめく」(『海馬』より)が原作。
ウィキペディアより→第50回カンヌ国際映画祭パルムドール

『パレード』内の「うなぎ」登場シーン

社長と百地さんは、パルムドールをデヴィッド・リンチの新作だと予想していたが、日本贔屓な俺としては「うなぎ」や「カンゾー先生」はつまらなかったにしろ、それでも日本の巨匠今村昌平監督の世界初三度目の受賞を期待している。

『パレード』(p.237)

ここで出てくる「俺」は映画配給会社で働く伊原直輝のことです。
社長と百地さんがカンヌに行くという話からの連想のシーンとなります。
直輝にとっては「つまらなかった」と書いてあったので、どんな映画かと思っていましたが、私は面白かったです。
ちなみに、今村昌平がパルムドールを取った一つ目の作品は「楢山節考」で、二つ目の作品がこの「うなぎ」となっています。
吉田修一はそういったことも知っていたんですね。

吉田修一作品とのつながり

罪を扱っている
罪を扱う映画が続いています。

以上で、「うなぎ」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:Amazon「うなぎ」

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