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【映画#78】「オール・アバウト・マイ・マザー」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

暑い日が続きますね。
今日もかなり気温が上がるようです。
学校の教室はクーラーがしっかりきいているのですが、職員室のききがあまり良くないのと、職員室から教室までがけっこう距離があり、暑さを実感しています。
でも、そろそろこの夏の暑さにも慣れていきたいと思っている今日この頃です。
みなさんも熱中症などにお気を付けください。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「オール・アバウト・マイ・マザー」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの5作目です。
4作目の「火まつり」はまだ見られていません。
映画から小説化したものを読めそうなので、まずそちらを読んでみようと思います。

基本情報

監督:ペドロ・アルモドバル
出演者:マヌエラ(セシリア・ロス)
    ウマ・ロッホ(マリサ・パレデス)
    シスター・ロサ(ペネロペ・クルス)
    アグラード(アントニア・サン・フアン)
上映時間:1時間41分
公開:1999年

あらすじ

移植コーディネーターをしているマヌエラ
マヌエラにはエステバンという名の息子がいます。
エステバンの誕生日に二人で舞台を見にいった夜、エステバンがウマ・ロッホという女優の出待ちをしていました。
エステバンがサインをもらおうと車を追いかけだしたときに、運悪く別の車に轢かれ、事故死してしまいます。
失意のマヌエラは故郷のバルセロナに戻ります。
戻った場所は野原(カンパ)と俗に言われるような野外で売春が行われている場所でした。
どうやらマヌエラはそこで働く娼婦達と知り合いのようです。(マヌエラが働いていたかどうかはよくわかりません)
トランスジェンダーで、娼婦として働いていたアグラードという友達と久しぶりに再会します。
旧友やその知り合い、そしてエステバンの父親(つまり、マヌエラにとっての元夫)との再会を通して、色んな問題が明るみになってきます。
また、マヌエラは上手く立ち回り、ウマ・ロッホとつながります。
舞台と女性達の日常がつながってきます。

設定

・臓器移植
・性
・舞台

感想

グイグイ引き込まれて見てしまいました
そして、思った以上に複雑な映画でもありました。
例えば、序盤エステバンが事故死して、それまで移植コーディネーターをしていたマヌエラの息子がドナーとなるという状況になります。
ここから移植がテーマになるのかなと思いつつ、そこからは性が全面に出てきます。
娼婦であるとか、LGBTのような話であるとか、簡単に理解しようとすることを拒むようなテーマが次々と出てきます。
ここらへんが複雑だなと感じた所です。
だからこそ見応えがあるのですが・・・。
ただし、「身体」というのはそれらのテーマを貫くものなのかなとも思いました。
その他にもヘロイン中毒、エイズ、認知症なども出てきて、登場人物達の運命を左右していきます。
タイトルから考えるなら、この映画ではマヌエラに関わる様々な問題(テーマ)が次々と描かれていました。
そして、ネット上のサイトなども参考にするなら、自分を捨てた夫や、その夫の子どもを身ごもった女などを「許していく」マヌエラの凄さが描かれていたのかなとも思いました。

夏至の夜の列車混み合いバルセロナ

その他

ウィキペディアより
→スペイン映画。

→アカデミー外国語映画賞やカンヌ国際映画祭 監督賞などたくさんの賞を受賞。

→ペドロ・アルモドバル監督は同性愛者であることを公言している。

『空の冒険』内の「オール・アバウト・マイ・マザー」登場シーン

短篇のタイトルの一つとして出てきます。
 
吉田修一が書いた「オール・アバウト・マイ・マザー」は前川多香子という語り手が3泊4日の北海道旅行に行くために羽田空港に来ているところから始まる話です。
多香子は大学からの友人である本多久枝と一緒に旅行に行く予定にしています。
ちなみに多香子は59歳です。
少し遅れてきた久枝と色々と会話をしつつ、二人の結婚や子どものことを回想して物語は進みます。
映画との共通点は、それほど強く出ている感じはしませんでしたが、強いて言うなら母(多香子の母、映画ではマヌエラ)しか頼る人がいない人が出てくるということかなと思いました。
ちょっと細かいですかね・・・。
 

吉田修一作品とのつながり

・同性愛のモチーフは吉田修一作品(『最後の息子』をはじめ)にも何度も出てきます。
・吉田修一作品とのつながりではないのですが、(そして「火まつり」はまだ見ていませんが)女が階段を上る時からずっと女性が主人公の映画が続いています。

以上で、「オール・アバウト・マイ・マザー」については終わります。
複雑で見応えのある映画でした。
ペドロ・アルモドバル監督に興味を持ちました。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「オール・アバウト・マイ・マザー」

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