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【映画#87】「海角七号」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

今年のお盆は台風が日本列島を縦断していきました。
ちょうどその時期に旅行に行こうとしていたのですが、やはり厳しいだろうということでキャンセルをしました。
前日ぐらいに電話をしたのですが、公共交通機関が動かないということでホテルはキャンセル料を無料にしてくれました。
とてもありがたかったです。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「海角七号」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの14作目です。


基本情報

監督: ウェイ・ダーション
出演者:阿嘉(ファン・イーチェン)
    友子(田中千絵)
    カエル(イン・ウェイミン)、
    ローマー(ミンション)
上映時間:2時間9分
公開:2008年

あらすじ

台北でミュージシャンになる夢に破れ、故郷の恒春へ戻ってきた阿嘉(アガ)

                      阿嘉


地元のイベントに出演する町民バンドのボーカルとして活動を始めます。
と同時に、ポーさんというおじいさんから譲り受けた郵便配達の仕事もやり始めますが、その中で宛先不明の恋文を見つけます。
その恋文は現代ではなく、戦後まもなく書かれた恋文のようで、書かれている住所「海角七号」を知る人はもう誰もいません。
戦後、台湾を離れざるを得なかった男性と、台湾に残った「トモコ」という女性の恋愛がそこにはありました。
そして現代。
イベントに日本の歌手、中孝介を呼んでいることもあり、別の仕事で来ていた友子という女性が通訳として従事します。

                      友子


友子はなかなかうまくいかない町民バンドの活動などを見ていて、イライラをためます。
そのイライラが町の祭りの日の夜に爆発しました。
阿嘉の家に行き、酔っぱらってグダグダ玄関でやっていました。
疲れて眠りかけたところを、阿嘉が介抱してくれます。
仲の悪そうに見えた二人は、ここで一気に距離を詰めます。
このあと無事イベントは行われるのでしょうか。
過去と現在、台湾と日本をつなぐ恋は成就するのでしょうか。

設定

・台湾と日本
・過去と今の恋愛
・一人一人のキャラの濃さ

感想

台湾が舞台となっていますが、台湾と日本のつながりが描かれていて、良いなと思いました。
それは主に恋愛という点で、戦後まもなくの時期の男性とトモコとの恋愛、現代の阿嘉と友子との恋愛として描かれます。
ただ、そういった大きなテーマだけでなく、例えばカエルというあだ名の登場人物(町民バンドではドラムを担います)が髪を赤に染めてきたときに「スラムダンクかよ」というツッコミが入るくだりがあるのですが、こういった細かい所にもまさに日本の影響が出ていると思いました。

少しストーリーとして出来すぎているなと思えるところもありました。
例えば、ずっと阿嘉に怒っていたはずの友子が一気に距離をつめるところや、宛先のわからない手紙の主の孫がホテルの従業員であるところなどです。
それでも、そんな少し都合の良い展開を差し引いてもなお楽しめる映画だったと思います。
台湾と日本の結びつきの深さも改めて感じられました。

台湾と日本をつなげ鰯雲

その他

・ウィキペディアより
→近年低迷を続けていた台湾映画界で、この映画は例外的な興行収入5億3千万台湾ドルを記録し、『タイタニック』に次いで台湾歴代映画興行成績のランキングで2位になった。

→(映画の中で最後に歌われる)『野玫瑰』(野ばら)は日本統治時代の小学校での代表的な唱歌であり、台湾が日本統治を離れた後も、中国国民党軍政権に排斥された日本文化の中で、ドイツのフランツ・シューベルトの作曲ということで、かろうじて日本統治世代に受け継がれてきたもので、日本と台湾を結び付ける象徴となっている。

『空の冒険』内の「海角七号」登場シーン

年に数回は訪れるほど台湾が好きなのだが、当然、台湾でもたまに映画を見る。一昨年のことになるが、台北で『海角七号』という映画を見た。これは日本の台湾統治時代に起こった日本人男性と台湾人女性の悲恋と、現代の台湾人男性と日本人女性の恋を重ねるように描いた映画で、台湾では『タイタニック』に次ぐ興行収入があったらしい。

『空の冒険』(p.202)

これは「タイペイ、タイワン」というエッセイの一節です。
吉田修一さんは旅先で映画館に入り、映画を見るということを趣味にしておられます。
言葉がわからない中でも、映画のラストシーン「野ばら」の合唱で涙されたようです。
そして、日本に戻ってから1年後、銀座の映画館でこの映画を見て、やはり同じシーンで涙を流されたとのこと。
台湾が好きだという吉田修一さんだからこそなおのこと感動も深かったのかもしれません。 

吉田修一作品とのつながり

・台湾を舞台に日本とのつながりを描く点は『路』に似ている。

以上で、「海角七号」については終わります。
台湾と日本のつながりの深さを感じられる映画でした。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「海角七号」

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