【作品#47】「自伝小説Ⅰ」『青春 コレクションⅠ』より
こんにちは、三太です。
台風が近づいていますね。
しかも列島を縦断しそうな進路でとても心配です。
夏休みでも生徒は夏期講座や部活動など様々な用事で登校してくるので、そういう意味でも心配です。
できる備えをしていきたいと思っている今日この頃です。
では、今回は吉田修一さんの個人全集全四巻の一巻目『青春 コレクションⅠ』の「自伝小説Ⅰ」を読んでいきます。
これは個人全集への書き下ろし作品です。
全四巻それぞれに書かれています。
初出年は2019年(9月)です。
文藝春秋の『青春 コレクションⅠ』で読みました。
あらすじ
タイトルにあるように自伝を思わせる小説。
語り手の名前は修一ではなく、秀一。
これまで読んできたエッセイなどから推測すると、水への親しみ、弟の存在、家が酒屋、20代の終わりに母を亡くしたエピソードなど、かなりご本人の人生に近いエピソードが散りばめられているのかなと思いました。
もちろん「自伝」小説ですので。
出てくる映画(ページ数)
今回はありませんでした。
感想
かなり引き込まれて読みました。
自伝の小説でこれだけ引き込めるのが凄いと感じます。
お母さんのご兄弟は9人兄弟で、兄達がかなりヤンチャな人たちだったようです。
その筋の人も出入りしていたような話も出てきます。
そんな母の家に幼い頃、週末には帰るという習慣があったようで、そこでどんちゃん騒ぎをしていたようです。
この辺りの雰囲気が『長崎乱楽坂』や『国宝』に大いに生かされているように感じました。
もう一つ強烈なエピソードがあって、それは弟の顔がアルコールで燃えるというエピソードです。
一命はとりとめたようですが、人体模型のように変わり果てた弟の顔にゾッとしたという話が描かれます。
どこまで本当で、どこから嘘かはわからないですし、小説に対してそれを考えることは野暮だとは思いますが、もし仮にこれが本当なら、「しゅういち」少年の心に大きな物を残したことが推察されます。
武勇伝語る伯父へとましら酒
以上で、「自伝小説Ⅰ」の紹介は終わります。
この書き下ろし作品はさらっと読めて、めちゃくちゃ面白かったです。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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