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【作品#50(34・35の間)】「六つ目の角で」『恋愛 コレクションⅡ』より

こんにちは、三太です。
 
最近、久しぶりに吉田修一さんの『湖の女たち』を読み直しました。

はじめ読んだときはとてもオープンエンドだなと感じました。
けれども、映画も見て、今回の再読も経て、ある程度方向性は示されていたんだなと感じました。
再読で新たな読みを発見できて嬉しかったです。
また『湖の女たち』もおいおい紹介していきたいと思います。

では、今回は吉田修一さんの個人全集全四巻の二巻目にあたる『恋愛 コレクションⅡ』の単行本未収録作「六つ目の角で」を読んでいきます。

初出年は2016年(1月)です。
これまで紹介した作品で言うと『作家と一日』と『橋を渡る』の間に書かれた作品です。

文藝春秋の『恋愛 コレクションⅡ』で読みました。


あらすじ

閻魔ちゃんの居酒屋に来ていた雅司、42歳
雅司はゲイです。
雅司はモテていた過去にとらわれ、今の上手くいかない生活を受け入れられず、グダグダとくだを巻いています。
でも、居酒屋からの帰りに寄ったシネコンのビルである出会いがあり・・・。

単行本未収録の作品。

出てくる映画(ページ数)

①「欲望という名の電車」(p.171)

「・・・ブランチと言えば、『欲望という名の電車』のブランチじゃない。年老いた孤独な女が言うのよ、『私はいつも見ず知らずのかたのご親切にすがって生きてきましたの』って。ねえ?」
「そうですそうです。昔はいろんな男たちに愛されたんだけど、今はもう見る影もなくて・・・」
「〈欲望〉という名の電車に乗って、〈墓場〉という電車に乗り換えて、六つ目の角でおりるように言われたのだけれど・・・〈極楽〉というところで」 

今回は1作ありました。
演劇としてもたくさん上演されている作品ですが、映画もあったのでとりあえず見てみることにします。
また、タイトルにも映画の内容が深く関わっています。 

感想

この話は簡単に言えば、後ろ向きな雅司が前向きになる話です。
その前向きになる要素として、出会いと閻魔ちゃんの言葉が重要な役割を果たします。
「嘘ってさ、人を遠ざけるのよ」という閻魔ちゃんの言葉。
人生の酸いも甘いも知り尽くした(であろう)閻魔ちゃんから出てくる言葉は深いです。

ざるに盛る枝豆投げる嘘つきに

以上で、「六つ目の角で」の紹介は終わります。
単行本未収録作の閻魔ちゃん四部作のうちの三部作目でした。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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