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【映画#82】「青の稲妻」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

暑い日が続きますね。
日中車に乗ると、クーラーをかけても温風が出てきて全然冷えずサウナのようです。
次、車を買うときはもうちょっと冷えやすい車を買おうと思っている今日この頃です。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「青の稲妻」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの9作目です。
「ドライ・クリーニング」はまだ見られていません。


基本情報

監督:ジャ・ジャンクー
出演者:チャオチャオ(チャオ・タオ )
    ビンビン(チャオ・ウェイウェイ)
    シャオジイ(ウー・チョン)
    チャオサン(リー・チュウビン )
上映時間:1時間52分
公開:2002年

あらすじ

舞台は中国の地方都市、大同。
そこに住む青年のシャオジイビンビン
二人はともに就職ができず、町をフラフラしています。
シャオジイはチャオチャオという娼婦のような女性を好きになりますが、ライバルの男が現れ、あまりうまくいきません。
ビンビンには彼女がいるのですが、彼女は高校を卒業して北京の大学に行こうとしています。
また、ビンビンは軍に入隊しようとして身体検査をしたところ、肝炎であることがわかります。
感染症をうつすことを考慮して、彼女と距離を取ろうとします。
シャオジイ、ビンビンともに家族も安定しているとは言えません。
どうしようもない状態の二人はある行動に出るのですが・・・
地方都市の青年の不安や焦燥を描いた映画です。

設定

・モラトリアム
・地方都市
・恋愛

感想

なかなか筋がつかみづらい映画でした。
途中ぐらいから徐々にわかっていった感じです。
終始、陰鬱さがつきまといます
ビンビンとシャオジイはともに、恋愛も就職もうまく行かず、決して家族も安定しているとは言えません。
言わばこの八方塞がり感がそのまま陰鬱さにつながっていきます。
そして、陰鬱さには映像の撮り方も関係していると思いました。
一つ一つのシーンの間がとにかく長いのです。
例えば、「こんなに長くバイクに乗っているシーンいる?」という感じです。
では長いことに意味があるのかというとそれも見いだしにくいのです。
ここから映画を見ているものにとっても陰鬱さが感じられてしまいます。
また、間が長いのとともにもう一つ特徴的なのが反復です。
シャオジイがチャオチャオという女性とダンスをしていたとき、それを見ていたチャオサンという男が手下をよこして、シャオジイに暴力を振るいます。
その暴力が同じ言葉を言って、ビンタを繰り返すというものなのです。
これも陰鬱さにつながるかもしれません。
同じ日々の繰り返しに飽きるというような・・・。

この映画もある場所(この映画の場合は、地方都市の大同)に縛られた人の物語であるなと感じました。

陰鬱な間と反復の炎暑かな

その他

・行定勲監督のモラトリアム三部作と雰囲気(BGMなども)が似ている。

・やたらみんな煙草を吸う。

『空の冒険』内の「青の稲妻」登場シーン

短篇のタイトルの一つとして出てきます。
 
吉田修一が書いた「青の稲妻」は小さな映像制作会社に勤めている河瀬京平という語り手が新しい挑戦をしようと決意する話です。
京平は20代半ばぐらいの年齢で、テレビドラマ好きの設定です。
東京のクラブで一目惚れした女の子に会いに青森まで飛行機で行くバイタリティもあります。
映画はバイクに乗るシーンがけっこう印象的ですが、こちらの短編はジャイアントのロードバイクに乗るシーンが何度か出てきて、少しつながりを感じました。
 
吉田修一作品とのつながり
・ある場所に縛られた人の物語

以上で、「青の稲妻」については終わります。
陰鬱さがひしひしと伝わってくる映画でした。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「青の稲妻」

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