市川雷蔵『ぼんち』(1960年公開)
市川崑監督。大阪で四代続く足袋屋の若旦那の半生を描く物語。原作は山崎豊子。
好きだなあ、市川雷蔵の関西弁。
祖母が喜久治について「おとなしいのか太々しいのか」とぼやく通り、市川雷蔵は、ふわぁとした調子の中に、するっと毒のある一言を忍ばせてくるセリフ回しが巧い。
登場人物の比率では女性が圧倒的に多く、男性は市川雷蔵の喜久治と、父の船越英二だけと言っていいのだけど、この2人の存在感が女性たちに負けていない。
「喜久ぼん」こと喜久治は、22歳のある日、祖母と母に呼ばれる。