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ドラマ感想『仮面ライダー BLACK SUN』Amazon prime video

※これは23年6月にamebloで投稿したものを加筆修正しています。

中村倫也(シャドームーン役)の声のバリエーションを、とことん堪能できる。

学生時代のあどけなく恋に盲目な青年の声から、身体は若くとも50年の中で苦しみもがいた日々をにじませた怒り、憎悪、冷酷、尊大、野望、後悔。
このひとの声の使い方は好きだなぁ。

ストーリーは過去(学生運動盛んな1972年)と現在(2022年)を行ったり来たりする。

BLACK SUN役は西島秀俊で、彼の若い頃を演じるのが中村蒼。

過去を演じる中村蒼の古風(昭和)な美男ぶりが時代設定とマッチしていて、当時の特撮っぽいイメージを醸し出してくる。

中村蒼という役者は、
方言だったり、時代劇だったり、今回みたいに肚の読めないところのある人物だったり、設定難しめの役で期待を裏切らない。

総理大臣役がルー大柴。見事なぐらいの憎まれ役。
彼の若き日を前田旺志郎がやっていて、顔立ちはルーに全く似ていないものの、着こなしも含めて設定の時代感にすんなりハマっている。

とはいえ、ワガママで憎たらしいボンボン役のはずが、役者自身のまとう愛嬌が滲み出てしまう(褒めています)。

「この子が数十年経って、ホントにああなるかな?」と疑問が残る感は否めない。

西島秀俊、簡単には肚を見せない、芯のある役。安心して見ていられる。筋肉もりもり。

終盤(最終話 4:40あたり)、中村倫也のシャドームーンと同じ画面で「変身!」は、一瞬、向き合った二人が鏡のようで、画面構成のカッコよさがガツンとくる。

ストーリーは、怪人と人間の共生か闘いか、というテーマをきれいに現代の問題と絡めている。
難解にならず見やすい中でも、現実が抱える危機を意識させてくる。
ただ、近年の地上波の特撮ものとは比べられないほどグロテスクなので、流血や身体欠損表現が苦手な人は要注意。

最終回だけ、突然に当時のオープニングテーマらしき歌入りの音楽が流れてきてびっくりする。
しかし当時の色調とか、カメラの動き、フォントが懐かしく、見入ってしまう。

特に「コウモリ怪人」「クジラ怪人」などクラシカルな怪人名が並んで、その配役が豪華なのがご祝儀感いっぱいで良い。

音楽といえば、メインテーマの使い方がしつこくて、イッキ見では音楽にはそうとう飽きる。
中村倫也の声を聴きたい場合(そういう感想?)、まさかミュートで字幕という選択はなく、ここは悩ましい。

でも、試しに日本語字幕オンにしたら、ちょっと面白かった。

【字幕】※第4話の字幕より
(銀バッタ)「お前より俺の方が強い!」
(黒バッタ)「あの時はここで止められたよな!」

役目の括弧書きがシュール。
「銀バッタ」、「黒バッタ」て…。
そりゃ、見た目まんまだけども。

もう一回、好きなシーンを辿って見たい。…字幕じゃなくて。

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