【感想】かいけつゾロリの王子様になる方法
どうも。かいけつゾロリという児童書を読む成人男性です。
昔読んでたゾロリの本を、本棚から手に取って読んでみたところ面白かったので、調べてみるとまだ続いているとの事。
そこで大人になってから、また一冊ずつ集め始めました。
ゾロリシリーズはもう70冊以上も出ているのですが、あまりサクサクと読んでしまうと、あっという間に全て読みきってしまいそうなので、あえてスローペースで読むようにしています。
今回このゾロリの本を買ったのも3年ぶりです。
大好きなシリーズではあるのですが、ある種、それぐらいのペースで読むように、私自身の中で調節している面があります。
そうすることで、ゾロリシリーズは年に1冊くらいのペースで出版されていますから、読むペースが追いつかないんです。
つまり追いつかないことによって、まだ読んでないゾロリ作品が残されている。
だからこそ、「また気が向いたときにゾロリの世界に戻ってこれる」という楽しみが残るんです。
したがって「思い出した頃に1冊読んでみる」くらいの方が、なんだか人生を通してゾロリというシリーズを楽しめるような気がするんです。
それぐらいじっくり向き合いたいほど、好きなシリーズなんですよね。
とは言え、この歳で熱く語っても周りには理解されないのは分かってるのでnoteでひっそりと感想を書こうかと。。
で、今回新しく買ったタイトルとは、
「かいけつゾロリの王子様になるほうほう」
です。
これも2016年の作品なので、もはや新しい作品ではないですが、出来るだけ出版順に読んでいます。
まあそれは置いといて、感想のほうを。
本作は、なぞなぞ、とんち、なぞかけのオンパレード回です。
まずはあらすじを
あらすじを簡単に書くと、
といった感じです。
ゾロリにはいくつか特技がありますが、その中の1つとしてなぞなぞが得意なんですよね。
今回のお話の中ではなぞなぞやなぞかけが大量に出てきますが、それを自分で考えてみると結構難しい。
(と言うことは、それを瞬時に解くゾロリやはり凄い)
この本の対象は、10歳前後の子供なので、そういったなぞなぞの答えを考えさせて、クイズ的な感覚でも楽ませるような作りになっているのかなと思います。
かいけつゾロリ、面白さの理由ってなんだろう
で、ここからは細かい部分で気になったところに触れていきたいと思うのですが、
まず冒頭の時点でゾロリたちがはらぺこの状態で始まります。
これはゾロリシリーズにおいて、割とお決まりのパターンです。
旅をする3人にとってはやはり食事は死活問題ですから、常にはらぺこの状態と言うのはある意味リアルですよね。
そして実はこのように、お腹を空かせていたり、暑かったり寒かったり、雨や嵐、疲れたりといった、人間の基本的な欲求が脅かされている描写に、人は引き込まれるような気がします。
マズローの5段階欲求説で言うと、生理的欲求とか安全の欲求と言ったあたりです。
それらの欲求が脅かされて、苦しんでいる描写、そして逆にそれらの欲求が満たされて喜んでいる描写、そういった描写をしっかり毎回入れ込んでいるところが、ゾロリが面白い理由の1つではないかと思います。
そういう人間共通の要素って、誰でも共感できるし、思わず引き込まれてしまうんですよね。
別の畑ですが、「ドラえもん」や、博打の「カイジ」なんかも、読み手の内なる欲求をうまく刺激するような描き方がされていると思います。
そしてこのゾロリシリーズでは、ゾロリ一行はあらゆる手段を使って食料を確保しようとします。
野宿するし、雑草やキノコを集めて鍋にして食べようとするし、初期の頃はおでん屋をまるごと盗んだりしてましたね。(ドラゴンたいじ)
そして面白いのが彼らはバイトもするんですよね。
このゾロリの世界では、森や川などの自然もたくさんあるし、村もあって、やや昔話っぽい世界観ではあるんですが、一方で我々の現実世界と同じように、ちゃんとした文明の街もあるし、コンビニもあるんです。
(ちなみに警察所や、美術館、テレビゲーム屋さんなどもある)
このように、昔話っぽい風景と、現実世界の世界観がごちゃまぜになっていうのがゾロリの魅力の1つ。
過去の作品では、ハンバーガーショップでバイトしたり、工事現場でバイトしたりしてましたが、今回は何やら「薪割り」と「落ち葉掃除」のバイトをしていた模様。
そんな風に、お金がない時はバイトでお金を稼ごうとするあたり、親近感が沸きます。
そして旅をして、野宿もするし、お金がない時はバイトで金を稼ぐと言う、そのバイタリティーの高さがゾロリというキャラクターの魅力でもあると思います。
そしてそういった描写がよく出てくるのは、作者の原ゆたかさんの、若い頃の経験から来ているのだと推察します。
というのも原ゆたかさんは若い頃、家出をして野宿をしていた経験があるようなんですよね。
ゾロリたちの旅の中で、やけにリアルにお金の問題や食べ物の問題が出てくるのは、そういった作者の経験に基づくものに違いありません。
↓私がそう確信したのもこちらのnoteを読んだからなんですが、原ゆたかさんの生い立ちに興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか。
https://note.com/poplar_jidousho/n/n4a9255db3c40
本作の感想
では、今回の物語の内容に話を戻すと、
王子様募集のポスターを見つけたゾロリは、そのオーディションに参加することを決めるんですね。
一次審査は「ポスターに書いてある6つのなぞなぞを解くこと」で、それに関しては、ゾロリは一瞬でクリアしてしまいます。
そして、次の二次審査はなぞかけ勝負ですが、これが完全にテレビ番組の、
「笑点」
になってます。
あの笑点の番組のセットに、ゾロリと他の参加者が座り、お客さんの前でなぞかけをする流れになります。
ここら辺も謎かけが10個以上出てくることに。
こんだけ考えるのも作者さんも大変でしょう。
とは言え、作者の原ゆたかさんは、おやじギャグがお好きだと思われます。
ゾロリシリーズでもよくオヤジギャグが出てきますね。
そう考えると、意外となぞかけを考えるのも好きなのかもしれないです。
いずれにせよそういった遊び心が、作品の面白さを引き立てていることは間違いありません。
で、なぞかけの二次審査もゾロリは勝ち進みます。
残るは最後の三次審査。
三次審査では、ついにお姫様が登場します。
可愛い言いたかっただけなんだけど、実は伏線なのではないかという考察
で、このお姫様なんですが、めちゃくちゃ可愛いんですよね。
ポスターの写真を見た時点で思いましたが、めちゃくちゃ可愛いし美人。
なんかディズニーキャラっぽいし、今までのゾロリシリーズのヒロインと比べても頭1つ抜けて美人な気がする。
そして実は、この、私の感想は決して大げさなものではなく、間違ってもいなかったのです。
と言うのも、おそらく、原ゆたかさんは狙って、このお姫様をかなり美人に描いたのではないかと思うんです。
つまりわざと、過剰なまでにビジュアルを良くした。
そしてその理由も、最後まで物語を読めば、何となくわかることになります。
要は、”お姫様が異常なまでに美人すぎること”そのものが一つの伏線なのではないかな、と思います。
ただ、これは読んだ人でも意見が分かれそうなので、コメント頂きたいですね。
とにかくその結末は、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。
ゾロリシリーズは物語の展開が秀逸
本作もそうですが、ゾロリシリーズはどんでん返しだったり、予想外の展開、もしくは”オチ”が、毎回しっかりと用意されているんですよね。
例えば「てんごくとじごく」「じごくりょこう」なんかは、しっかりと伏線が用意され、それが最後に回収されることで、一気に物語が解決するストーリー展開になっています。
あとは「めいたんていとうじょう」なんかも秀逸。児童書にしてはやけにちゃんとしたミステリー作品になっている気がします。
つまり、ゾロリシリーズは、物語の流れがしっかりと練り上げられているんです。
だからこそ、子供たちが最後まで飽きずに読んでくれるし、人気の作品になっているんだと思います。
そして物語がしっかりしているからこそ、大人が読んでも面白いんです。
まとめ・あとがき
ここまでで、
・ゾロリの面白さの理由
・本作のキャラクターの魅力
について語りました。
にしても、本作のお姫様については、ゾロリの世界観のタッチのままで、これだけ美人のキャラクターを描けるんだなと感心しました。
作者の絵の実力を見せつけられた感じです。
本当は美人も書けるんだぞ、的な。
名前はコスモ姫って言うんですが、このお話の中でいろいろな表情を見せてくれます。
そしてその表情が全部魅力的。
(ちなみに他のキャラ、ゾロリ、イシシ、ノシシを始めとした表情の豊かさも、シリーズの魅力。)
でも「じゃあ検索してみよう」と、このnoteの読者さんが思ったとしても、アニメの画像しか出てこないし、原作とは全然ビジュアルが違うんです。
この「王子様になる方法」の文庫本の表紙に、お姫様がいますが、表紙だけだとまだまだ魅力は伝わらないですね。
つまりこの本を実際に手に取って、その中身を読んだ人にしか、コスモ姫の"本当の魅力"を知ることはできないのです。
子供の頃、ゾロリを読んでいた方などは、ぜひ手に取ってみて、お姫様と物語の結末を確かめてください。
ではでは、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?