ジロー、元気にしてるのか?
ジローが居なくなってから、食欲もなく黙り込む僕に、お母さんは心配した。
「ジローは帰ってくるって」
僕もそう信じていた。
毎日、学校が終わると探しに行く。
似ている犬を見つけると遠くからでも叫んだ。
「ジロー!!」
その犬は、僕をチラッとみて走り去って行った。
「違うか・・・」
数か月過ぎると、ジローが居なかったことが当たり前のように普通の日常になっていった。
ジローは、帰ってくるって・・・
もう、誰もそんな言葉を言わなくなっていた。
「ジロー生きているのか?」
どこかで元気にいればと願うしかなかった。
学校の帰り道、ふとあの電柱を見に行った。
見上げると、まだ張り紙がしてあったけど、半分めくれてしまい、探しているはずの犬の顔さえ見えなくなっていた・・・
まだ、見つかってないのか・・
僕も張り紙することを考えたけど、この悲し過ぎる紙を見て目を背けてしまっていた。
ジローは、ちゃんと家を分かっているはずだから。
きっと、自分の意志で出て行ったんだよな・・
僕が嫌いになった?
それとも、大好きな友達が自由で羨ましかったのか?
お前は、いつも塀の向こうを見てたよな。
ずっと、ずっと、行きたかったのか?
最後に言ってくれれば良かったのに・・・
でも、僕は、どうしてもジローに会いたいよぉ
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